EVENT2017.1.26

2017年はこれが来る! デジタルのヒントを探してきました【イベントレポート】CINRA, Inc.主催「PORT! #5」

八島 朱里

株式会社アマナ マーケティング室
ビジュアルシフト編集部 チーフディレクター

PORT!公式サイト:http://port.cinra.co.jp/ 

こんにちは、ビジュアルシフト編集部の八島です。

新たな年になりましたが、皆さんは年末年始をどのように迎えましたか? 私は近年の目まぐるしいデジタルクリエイティブの進化に追いつこうと、多くの情報メディアを読みあさりました。

そこで気になったのが、CINRA, Inc.が主催する「PORT!#5/2017年はこれが来る!デジタル・クリエイティブ業界で活躍する9人が予測する未来とは」という、セミナーイベントです。

2016年はVRがトレンドワードとなり、「ポケモンGO」も社会現象となるなど、デジタルクリエイティブ業界はいろいろなことがありましたが、2017年は一体どのような展開になるのか‥‥? そのヒントがありそうだ! ということで参加してきました。

会場には、クリエイターや学生の皆さんなど、150名以上が集まり大盛況! 今回は特に印象に残った3人のプレゼンをご紹介します。

 

2017年のデジタルクリエイティブはこれが来る!
1)"HACKしたようなワンアイデア"が光るWebムービー

EPOCH Inc.から登場したのは佐々木渉さん。EPOCH Inc.は、Googleの拡張機能を使った安室奈美恵のミュージックビデオなど、デジタル・映像・Webを軸にクリエイティブをプランニング&ディレクションする会社です。

佐々木さんは2013年からディレクターとして所属し、Webを中心にインタラクティブコンテンツ、映像コンテンツの制作で活躍。国内外の広告賞も多く受賞されています。

そんな佐々木さんが予想する"2017年に来るもの"とは?

 EPOCH Inc. 佐々木渉さん

佐々木「ずばり、“HACKしたようなワンアイデアが光る、誰もが簡単にどこでも閲覧できるWebムービー”。例えば、画面をタッチできる動画や、スマホがジャックされたように見えるミュージックビデオなど、いわゆるバズムービーとは違う、ワンアイデアを活かしたHACK動画がトレンドになるのではないでしょうか?

なぜ、世の中にこれだけのBUZZムービーがリリースされているか? それは、誰もがスマホで動画を閲覧できるようになったからです。2015年時点でユーザーの76%がスマホで動画を見ています。そうしたなかスマホならではのインタラクションや錯覚を使う動画が増えてくるはずです。」

なるほど。確かにそうした動画はスマホを利用する日常にも馴染みますし、ゲーム感覚でも楽しめますね! 他にはどんな背景があるのでしょうか? 佐々木さんの口から出たのは意外なアプリの名前でした。
 
佐々木「2015年にちゃんりおメーカーが流行し、ジェネレーターコンテンツが多くリリースされました。この流れと同じように、2016年に話題になったいくつかの“ワンアイデアが光るHACK動画”に続くムービーが、2017年にも出てくると思います。人は話題になったものを真似たがり、ユーザーも参加・閲覧するハードルが下がった状態になるからです。」

佐々木渉さん発表のスライドより

佐々木さんによれば、こうしたHACKムービーは"映像監督によるものではなく、1人ひとりのクリエイターが挑戦できるもの"。スマホによって動画の見方・受け入れられ方が変わり、クリエイターのアイデアが存分に活かせる環境が整ったということかもしれませんね。2017年はどんな驚きを与えてくれるWeb動画が登場するのか楽しみです。

 

2)デザインとどう向き合っていくか?
~車を取り巻く未来について~

続いては、株式会社グッドパッチ 村越悟さんのプレゼンです。

グッドパッチは、UX / UIデザインファームとして、東京、ベルリン、台湾にオフィスを持ち、クライアントワークとして、企業のデザイン課題を解決する支援を行うほか、自社プロダクトとしてプロトタイピングツール「Prott」のほか、アプリ開発に使えるフィードバック機能を備えた新プロダクト「Balto」を2017年にリリースする予定。村越さんは、執行役員として海外とのクライアントワークプロジェクトの課題や、海外拠点の連携の推進などを行っています。

プレゼンのテーマは「デザインとどう向き合っていくか?~車を取り巻く未来について~」です。

Goodpatch, Inc. 村越悟さん

村越「最近、個人的に興味を持っているのが『移動』や『クルマ」といった領域です。僕は未来を考えるときには、まず必ず『そのものの起源と歴史』を調べるようにしているのですが、クルマの100年前について調べてみると、ちょうどフォードが『T型フォード』によってクルマの大量生産を可能にし、爆発的にクルマが普及する最初のきっかけとなった時期です。

クルマという移動手段を人々が手にしたことによって、都市交通や経済、流通のあり方が劇的に変わる時代の変化を経験し始めていたのがまさにこの時期です。

一方で、現在に目を向けてみると2015年以降で2020年に向けて、つながるクルマ、いわゆる『コネクテッドカー』の出荷台数が劇的に増えていきます。これは、100年前の大変化に続く、移動とクルマの新たな変化によって時代が変わるスタート地点に我々が立っているような気がして、偶然にしても100年前の状況と符合する点があり、とても面白い時期に来ていると思っています。」
 
具体的にはどんな変化が起きているのでしょうか?
 
村越「例えば、中国の自動車メーカー『吉利汽車(ジーリー)』が発表したグローバルモビリティブランド『LYNK&CO』は、ソフトウェア開発者向けにオープンなAPIが提供されていたり、クルマ自体が『所有』を前提にせず、『共有』を想定したサービスになっており、クルマ版Airbnbのようなカーシェアの機能をデフォルトでサポートしています。

このことは、車の製造、開発、販売、所有といった一連の流れの変化を示唆していると思っていて、クルマはよりサービスに近い存在に移行していくものと考えています。

また、今後15年~30年で自動車産業を取り巻く利益構造も変わると言われており、利益の35%前後がサービスに関するものや、ソフトウェア部品や開発などの新興サプライヤがシェアを取りに行くと考えられています。

今後、コネクテッドカーや自動運転などの技術が市場に投入されることによってクルマの所有やクルマを使った移動の考え方そのものが変わって行き、人とクルマの関係も新たにデザインし直す必要が出てくると考えています。クルマが常にインターネットやネットワークと通信するということは常に情報とのインターフェースをクルマとユーザは行っている状態になるので、そういう意味では取り巻く情報全てがインターフェースデザインの対象になってくると考えます。」

村越悟さん発表のスライドより

一方で、村越さんは既存のテクノロジーとの共存も大切と言います。
 
村越「Bloombergによると、2040年には電気自動車(ハイブリッド車を除く)の累積出荷台数は4億台を超えると言われています。また、2040年時点での電気自動車の販売台数は年間新車販売台数の35%を占めています。この数値を多いと捉えるか、少ないと捉えるかという視点はありますが、考えなければならないのは新しいテクノロジーやプロダクトが市場投入され続ける一方で、『既存のテクノロジー』や『旧モデルのプロダクト』が新しいものと完全にスイッチするにはかなりの時間がかかるので、『新しいものと従来のもの』の共存をどう考えて行くか、というバランスの話も今後テクノロジーを考える上で避けては通れない視点になると思います。

コネクテッドカーは2度目の大きな節目。車がデジタルプロダクト化・サービス化し、人と車の関係性を包括的に捉えるデザインが求められます。そうしたなかで新しいテクノロジーと既存のテクノロジーの兼ね合いを考えるのも大切だと思っています。」

 

3)現実とバーチャルが共存する、"リアル・バーチャリティ"

最後にご紹介するのは、メディア芸術祭大賞やカンヌライオンズの金賞を受賞しているdot by dot inc. のプログラマー / CTO Saqooshaさんのプレゼンです。

Saqoosha「2017年、僕が注目しているのは“リアル・バーチャリティ”。現実で起きていることがバーチャルに見える、いわば仮想空間的な現実です。1つの事例としてドローンレースがあります。

ドローンレースは、クワッドコプターと呼ばれるモーターが 4 つついたタイプのドローンにカメラを搭載して、そのカメラで撮影された映像をリアルタイムにみながら操縦することで、ドローンに乗っているかのような、レースゲームのような体験になるんです。」

dot by dot inc. プログラマー / CTO Saqooshaさん

実際に紹介されたドローンレースの動画は、ライトアップされたコースをドローンが発光しながら猛スピードで飛び回り、まさにVRのレースゲームそのもの。けれど仮想ではない、現実っ! これは想像しただけでも楽しそうです。
 
Saqoosha「ドローンレースの最高速度は時速150km。ドバイのレースでは15歳のパイロットが優勝して賞金25万ドルを獲得しました。海外のドローンレースはエンターテインメント化が進んでいて、ルーマニアでは地下の洞窟をコースに仕立て、アップダウンの激しいドローンならではレースを開催。また、アメリカのDRL(ドローンレーシングリーグ)はスポーツチャンネルと中継の複数年契約を結び、コースのレイアウトや演出もかなり凝ったものになっています。」


Saqoosha「さらに日本にも『ドローン・インパクト・チャレンジ』という団体がありますし、PC 上でドローンレースの体験ができるドローンシミュレーターというものもあります。

今後ドローンの性能と中継技術が進化してドローンの位置を3D空間上で完璧に捉えられるようになると、本当のゲームのような映像になるんじゃないかなーと思っています。僕もやりたい!(笑)」

私もやりたいっ!!!

 

このほか、THE GUILDの深津貴之さんによるWeb制作の内製化と制作スタイルの転換をテーマにしたプレゼンなど、トピックはテクノロジー以外にも幅広く及びました。
 
このうちいくつが現実になるのか、さらには予測を超えた新しいデジタルクリエイティブが登場するのか‥‥ 2017年のデジタル・クリエイティブの進化に今からワクワクしますね!

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<イベント詳細>
「PORT!#5/2017年はこれが来る!デジタル・クリエイティブ業界で活躍する9人が予測する未来とは」
主催:CINRA, Inc.
開催日時:12月7日(水)会場19:00/開演19:20
会場:UNICE(〒150-0021 東京都渋谷区 1−34−17 Za HOUSEビルB1) 
参加費:一般1,000円、学生無料(1ドリンク&フィンガーフードをご用意しております)
定員:一般200名、学生50名 
※イベントは終了しています

プロフィール

八島 朱里

株式会社アマナ マーケティング室
ビジュアルシフト編集部 チーフディレクター

飲料メーカーでのマーケティング業務、公共交通系事業社のWebマスターを経て、2015年にアマナ入社。アマナグループコーポレートサイトの企画運営やマーケティング業務を担当。2016年よりブログメディア「Visual shift(ビジュアルシフト)」のチーフディレクターを兼務。

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