COLUMN2017.6.15

【連載コラム】アイデアが湧き出る、Pinterestのズームイン検索VISUAL INSIGHT vol.02 ビジュアルサーチで、企画やアイデアのインスピレーションを得る/大谷和利

 

テクノロジーライターの大谷和利さんが注目した、世界の先進的なビジュアルユースのトピックを取り上げる連載「VISUAL INSIGHT(ビジュアル インサイト)」。第2弾は、Pinterestのズームイン検索をご紹介します。
 
企画のアイデアを練ったり、プレゼンや社内報、広報誌などのビジュアルのインスピレーションを得たいとき、読者の皆さんはどうされているのでしょうか? 
 
若い世代はInstagramにアクセスし、年代が上になると今でもGoogle利用の比率が多いかもしれません。今回、大谷さんがおすすめするのは、表示している画像の中から自分が注目する範囲を選択するだけで、似ている画像や関連アイテムを自動的に集め提示してくれる機能でした。

● 第1弾【連載コラム】SXSWで見つけた、「どこでもサイネージ」はこちら

 

Google検索やInstagramにない
Pinterestのメリット

最初に、アイデアやインスピレーションを得るためにPinterestを利用するメリットを、GoogleやInstagramとの比較を交えて簡単におさらいしておこう。
 
それぞれに特徴があり、たとえばブラウザに組み込まれたGoogle検索の手軽さや、グローバルで5億人以上(2016年6月時点。日本国内は同4月時点で1000万人。)のユーザー数を誇るInstagramの情報量は無視できない。
 
しかし、Pinterestの場合、イメージ検索結果のほとんどに画像のサムネールだけでなく簡単な説明が付いている。これによって、わざわざサムネールをクリック(モバイルデバイスの場合には、タップ。以下同じ)してそれが何の写真なのかを確認しなくとも大まかな内容を把握でき、このページをスクロールしていくだけで、自分のプロジェクトにマッチするアイテムを選び取っていけるのだ。
 
しかも、サムネールがあえて不ぞろいなのも、画面下方にまだ一覧が続いていることが明示的にわかり、スクロールを促す役目を果たすものだ。
 
以下の図版は、例として「一人暮らし」に関する企画を立てたり、ビジュアルが必要な場合を想定し、3つのサービスを使って検索を行った際の結果を表示したものだが、こうした違いがよく現れている。
 
また、Pinterestでは検索語に関連するキーワードをシステムが自動的にピックアップし、サーチフィールドのすぐ下にボタン化して並べてくれるため、ここからの絞り込みも効率よく行っていける。
 
さらに、筆者が注目したいのは、検索結果に幅があり、探している情報そのものではなくとも何かを企画する際などに豆知識的に役に立つイメージが混在している点だ。これは、元の画像をコレクションしている人の知識や判断がボード(テーマごとのスクラップ)に色濃く投影され、それが検索結果にも反映されるためであり、直感的な好き嫌いが優先されやすいと考えられるInstagramでは得難い傾向といえる。

1)Google
たとえば「一人暮らし」でサーチしてみると、グーグル検索では整然とイメージが並び、スポンサー情報も表示されてしまう。

 

2)Instagram
Instagramでは主にユーザーが設定したタグベースの検索となり、バラエティに富むがバラツキも大きくなる傾向が見られる。

 

3)Pinterest
Pinterestでは、画像の解析結果も加味され、適度に収束しつつも幅を持たせたアイテムが表示される上、画面上の関連ワードを併用する絞り込みも簡単に行える。

 

ここでは検索語に「リビング」を加えてみた。

 

このような絞り込み結果が得られたが、赤丸で示した豆知識的なものも入ってくる点がPinterestのユニークなところ。こうした情報が触媒となって別のアイデアにつながる場合も少なくない。

 

ズームイン検索を使いこなす

さて、これはというイメージが目に留まったら、ズームイン検索の出番だ。
 
これも先ほどの絞り込み検索と同様に、直感的に利用できるように考えられており、イメージをクリックして拡大すると、右肩に虫メガネアイコンが付加されている。このアイコンをクリックすると、写真の任意の場所にフォーカスして、そこに含まれるものをイメージ検索で深掘りしていけるのである。

ズームイン検索を行う対象として、赤丸を付けたリビングの写真を選択してみる。

 

すると、その写真が拡大表示され、その右肩に虫メガネのアイコンが付加されているので、それをクリックしてみる。

 

写真の中央に選択範囲を示すフレームが現れ、その部分と類似・関連したイメージがリストアップされていく。フレームの位置やサイズは自由に変更できるほか、システムが自動認識したアイテムには白い丸印が付くので、それをクリックして検索を進めることが可能だ。

 

たとえば、左下のテーブルに注目してみると、このような結果が得られる。

 

あるいは、右下のソファに着目すれば、このような結果となる。

 

より特徴のはっきりしたアイテム(ここではペンダントライト)にフォーカスすると、そのブランド名や製品名(この場合は、Belvorie)まで特定できることも多い。

 

そのまま類似・関連アイテムのエリアをスクロールしていくと、似て非なる製品に遭遇する。ズームイン検索を繰り返すことで、自らの意図により近いイメージを見付けたり、自分の引き出しにはなかったインスピレーションを得ることが簡単にできるのだ。

 

実際に、犬、ロゴ、パッケージなどの検索語からスタートしてズームイン検索を行うと、そのポテンシャルの高さがよく理解できるだろう。
 
Google検索やInstagramは、探したいものが決まっている場合には有効だが、企画・発想ツールとして利用するにはPinterestのほうが優れている。その強力な武器が、ズームイン検索なのである。

ここでは犬の集合写真をズームイン検索しているが、フレームで囲う犬を変えると、即座にそれが結果に反映されることが理解できる。

 

ロゴデザインなどの場合には、囲う場所をグラフィックとテキストで変えることで、これだけ異なる結果が得られる。

 

さらにパッケージなどの写真をズームイン検索すると、形や色、構図など、様々な要素から類似点を見出した結果の表示が行われる。

目指すビジュアルにアプローチしやすくなるズームイン検索。うまく使いこなして、アイデア出しや企画書作成に生かしてもらえたら幸いだ。

 

プロフィール

大谷 和利|Kazutoshi Otani

テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー

デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。著書に『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』(アスキー新書)。『iPhoneカメラ200%活用術』(枻出版社)、『スティーブ・ジョブズとアップルのDNA』(マイナビ)『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社)、『ビジュアルシフト』(宣伝会議)、『ICTことば辞典』※共著(三省堂)など。

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