EVENT2017.10.5

爪痕を残せるか? 若手の国際広告賞-NEW STARS 2017を戦ってきた

初めまして。アマナデザインのプランナー羽渕梨捺とディレクター鈴木陸です。

今年で10回目を迎えた釜山国際広告祭(AD STARS/アドスターズ)が、2017年8月24日(木)~26日(土)に韓国・釜山で開催されました。

その期間中に行われる、若手クリエイターを対象にしたコンペティションNEW STARS(ニュースターズ)に、アマナデザインから2チーム4名が参戦しました。

左から、浅野さやか、浜嶋結衣、羽渕梨捺、鈴木陸
 

コンペティションはどのように行われ、そこで何を感じて学んだのかをレポートします。

 

若手クリエイターの育成が目的、NEW STARSへの道

●NEW STARSとは

国際広告祭はカンヌライオンズを中心に世界各地域で開かれています。AD STARSは、スパイクスアジア、アドフェストについでアジア屈指の国際広告祭。その中では新興ですが、今年10年目を迎えて盛り上がってきています。

 

私たちが参加したNEW STARSは、3年次以下または満30歳以下の全世界の現役クリエイターが、2人1組で参加するヤングコンペティションです。参加チームは、現地で出された課題に対して28時間以内にクリエイティブアイデアを考え、プレゼンボードをデータ提出し、GOLD、SILVER(各1作品)、BRONZE(3作品)をかけて競います。

カンヌのヤングライオンズ(通称、ヤングカンヌ)のような国内予選はないので参加の条件を満たせば応募できますが、アマナデザインでは社内選抜を実施。今年は、浅野さやか・浜嶋結衣の女子チーム、羽渕梨捺・鈴木陸の男女チームが参戦。羽渕は2年ぶり2度目の挑戦です。

●挑戦前の準備

社内選抜後からコンペティションまでの約2カ月間、企画力をレベルアップするため、先輩プランナーにプランニングメソッドを日々特訓してもらいました。

ポイントは、アイデアが、与えられた課題を解決するだけでなくターゲットや社会をポジティブにするもう一つの結果を生み出すことになっているかどうか。その変化が大きいほど、強いアイデアとみなされます。

まずは、課題分析力をつけるトレーニングから。具体的には、過去にカンヌやアドフェストで賞を取った事例について、プロブレム/アクション/リザルトを“自分で企画したつもり”で言語化し、そのアイデアの作り方を検証しました。

次に、実戦形式のアイデアワークで課題発見力を持つトレーニング。28時間のタイムリミットを意識して過去問題やオリジナル問題を繰り返しました。受験勉強みたいですね。これで受賞のレベル感がつかめるようになりました。

いよいよ本番です。ただ参加するだけでは意味がありません。しっかり爪痕を残すというミッションを背負って、いざ決戦の地・釜山へ。

 

予想できそうでできなかった! 現地で出された課題とは

●28時間の戦いがスタート

 

NEW STARSには、世界各国の若手クリエイターが参加しているはずでしたが、ふたを開けてみると、日本13チーム、韓国12チーム、フィリピン、ポーランド、ハンガリーから1チーム、ブルガリアから2チーム、昨年は大勢だった中国も1チームのみの参加。さながら日韓戦の様相でした。

前日から現地入りしてスタンバイ。当日の朝9時に課題が発表されました。ここから28時間後の翌日13時までに作品を提出します。

今年の課題は、2018年に開催される「平昌(ピョンチャン)オリンピックのオーディエンスを増やすためのソリューション」というまさにタイムリーなもの。

予想できそうで、できなかったことが悔しい。

「平昌ってどこだ?」と調べるところからスタートです。一方で、一商品のプロモーションを考えるより大きなアイデアが浮かびそうだというワクワク感がありました。

 

●こうして企画を考えた

課題の背景には、平昌オリンピックの韓国国内認知は90%以上と圧倒的に高いが、実際に行くと答える人は8%台にとどまっているという事実がありました。認知度は高いのに参加意識が低いというギャップを解決するアイデアがキーになります。

ターゲットをどこに置くのかは自分たち次第です。国内の人なのか、海外の人なのか。若者なのか、シニアなのか。ブリーフシートを読み返すと、韓国国内の課題が長々と述べられ、最後に一言、「世界の人に向けて」と書かれていました。ここを読み違えると大変なことになるので悩みましたが、最終的に私たちは世界各国からの観客をターゲットに考えました。

フローに沿って課題分析からシビアにやっていくというよりは、面白いかも!と思ったアイデアをいかにロジカルに企画にしていくか?というやり方で進めました。先輩直伝のメソッドでは、プロブレム/アクション/リザルトのどこから考え始めてもいいんです。思いついたことはどんどん書き出して壁に貼っていきました。課題が出された当日の夕方には、ある程度アイデアが出ていたので、市場を散策して夕食を仕入れて、仮眠もとりました。

 

 

 

NEW STARSは、作業場所の縛りがなく、個人のパソコンの持ち込みも可能。ホテルに引きこもって作業しているチームが多かったようですが、羽渕・鈴木組は、カフェに行って考えたり、頭と足を冷やしにビーチへ出かけたりしていました。釜山はロケーションに恵まれていてビーチがとても美しいんですよ!

 

ちなみに日程は次のとおりです。

8月22日(火)入国およびホテル案内 オリエンテーション
8月23日(水)テーマ発表(9:00)
8月24日(木) 作品提出&締切(13:00)、ウエルカムパーティー
8月25日(金) 審査員とのトーキング ネットワークパーティー
8月26日(土) セミナー/展示の参観 授賞式
8月27日(日) 出国
※すべて2017年


作品を提出した後は、夜な夜な開かれるパーティーでいろいろな国のクリエイターと情報交換をすることができました。

 

審査結果発表! 世界を舞台にクリエイティブの醍醐味を知る

●アイデアに自信はあったが

羽渕・鈴木チームの作品は「Cheerimpic/チアリンピック」。応援をキーワードにして、それを第2の公式競技にしようというアイデアを出しました。内容は、自国の選手・チームを応援してもらって、テレビはもちろん、Facebookライブなどでも配信して世界の人に評価してもらいます。競技終了後、選手の表彰式のあとにチアリンピック参加者の表彰式があり、実際にメダルが授与されるというもの。

 

ただ、今回は提案をプレゼンテーションする場はなく、1枚の企画書で伝える必要がありました。敗因はまさにそこ。アイデアはとてもハッピーで、オリンピックを盛り上げる参加型アクションになります。これは、単なる屋外広告やSNSキャンペーンではなく、もっと大きな取り組みの提案。「これはくるぞ!」と思ったのですが……。パッと見て、それが伝わるような企画書にはなっていませんでした。これは大きな反省点です。

提出の翌日、審査員とのトーキングタイムがあり、作品を映してフィードバックをもらいます。「チアリンピックを立ち上げるのはわかるけれど、その先がわからない」というコメント。もちろんその先はシートに書いてあるのですが、ビジュアルの引きが足りなかったのかもしれません。

審査員はアジアから1名のみ。日本人はいませんでした。国籍はもちろん、CD、AD、プロデューサーと業種も多様な審査員が集まって作品をジャッジするので、【万国共通のインサイト /一目で伝わるビジュアル】が、何よりも重要だと思いました。

●結果発表

ここまでの話で察していただいたとおり、残念ながら2チームとも入賞には至りませんでした。悔しい結果となりましたが、学んだことは大きかったです。

 

金賞は、韓国のチーム。“指で冬季オリンピックの競技を知る“というアイデアでした。サイトからフィンガートイをダウンロードして3Dプリンタで出力。一般の人に馴染みのない競技の紹介が添付されていて、#Fingerlympicsのタグをつけて写真やビデオ投稿するとオリンピックチケットの割引クーポンがもらえるというもの。競技を知り、クーポンがもらえて、認知が広がる。このアイデアの着目点がユニークで、ビジュアルもインパクトがありました。

銀賞は、日本のチーム。時間とお金に余裕があるシニアにターゲットを絞り、彼らの多くが関心のある「健康」に着目。オリンピック競技の動きを体験できるマシンを設置した公園を提供し、ディスプレーでアスリートたちの映像を見ることができたり、Skypeで選手たちと話もできて、平昌への思いが高まるというもの。共感が持てるアイデアでした。

銅賞以下は、自分たちも一度は考えた内容のものが多かったのですが、アイデアをわかりやすいビジュアルで伝えられたことが評価のポイントだったと思います。

 

 

●コンペティションを終えて

今回伝える相手(審査員)は海外の人であること、審査も限られた時間で行われることを加味して、直観的にわかりやすい提案にすることは大前提だと思いました。日本人同士、すでにクライアントのような関係性があれば伝わることも、コンペティションの場では一切伝わらないということを念頭に置いたほうがいいと思います。

また、ヤングコンペの作品は実際に実行まで伴わないので、アイデアが仕事として実現できるかということよりも、他のアイデアとかぶらずにどれだけ面白いものが出せるかという視点が大事だったと思います。そして何より自分たちのプロモーションの場となることを学びました。

本編のAD STARSの受賞作品は、いわゆる広告的なものは入賞していなくて、リアルな場で体験できて社会的な意味が込められたものが多かったです。

「今、そしてこれからの広告は広い視点で人の成長を促すもの。そもそも広告という言葉はもう必要ないのかもしれない。アマナもそういう会社にならなければいけない」と、代表4人で熱く語り合いました。ここでの体験を日々の活動にもつなげていきたいと思います。

 

プロフィール

鈴木 陸

株式会社アマナデザイン ディレクター

2015年アマナ入社。企画・ディレクション業務に携わる。Web、冊子、店舗企画、イベントなど様々な案件で、モノ・コトの本質を見極めた提案を心がけている。

プロフィール

羽渕 梨捺

株式会社アマナデザイン プランナー

2013年入社。プランナーとして、グラフィック、WEB、映像、イベントなど、様々なコンテンツの企画・制作に携わる。

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