COLUMN2017.10.6

【連載コラム】企業にとっての必修科目・アートvol.01 パナソニックによる、日本人写真家のための国際的プロジェクト

上坂 真人

株式会社アマナ
執行役員

Photo:Yoshinori Mizutani

アマナアートフォトプロジェクトのプランニングを担当している上坂です。これは、アマナと一般企業が連携して、アートのある生活を社会に提案するプロジェクトで、多くの企業と共にアマナ自身も文化についての理解を深め、結果、アーティストにとっての作品制作環境を改善し、世界に羽ばたく道を作ることを目的としています。
 
このコラムでは、そんなプロジェクトの前提として、アートがいかに企業にとって必要な要素であるかをお伝えしていきたいと考えています。まず第1弾として、パナソニックが若手写真家をサポートするために開催している写真展についてご紹介します。

 

世界で評価される、日本人写真家のアートフォト

今、世界で日本人写真家によるアートフォトが、高く評価されていることをご存知でしょうか。
 
たとえば、有名なニューヨーク近代美術館MoMAには、森山大道、石内都、吉行耕平、椎原治、細江英公、杉本博司、高木まどか、杉浦邦恵、東松照明、秋山亮二、土門拳、畠山直哉、奈良原一高、金村修、濱谷浩、木村友紀、北代省三、石元泰博、今井寿恵、一村哲也、浜田知明、淵上白陽……といった、日本人写真家のアートフォトが多く収蔵されています。

2015年春には、「SHASHIN」の名称で香港サザビーズにおいて日本人写真家の作品販売会が行われ、ニューヨークでは国際写真シンポジウムが開催されています。さらに2016年は、サンフランシスコ近代美術館SFMoMA、 ヒューストン美術館、パリの著名ギャラリー・ルバルが企画した、3つの日本人戦後写真家展が、世界の著名美術館およびギャラリーを巡回しています。

Photo: Delfino Sisto Legnani, Courtesy Fondazione Prada

Photo: Delfino Sisto Legnani, Courtesy Fondazione Prada

Photo:Yoshinori Mizutani

Photo:Yoshinori Mizutani

ベテランだけではありません。2017年には、29歳の水谷吉法がエルメスコレクション、33歳の藤原聡志がプラダコレクション入りしました。実は、この2人は「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS」という、パナソニックが手がける若手写真家サポートプロジェクトの選出者、という共通点があります。

写真家を全面サポートする、パナソニックの英断

「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS」は、パナソニックが日本の若手写真家の世界への窓口として2013年から続けているものです。世界的アートフォトイベント「UNSEEN」開催中のアムステルダムと「PARIS PHOTO」開催中のパリで、6人の若手写真家展を開催すると共に、各都市に写真家も招待しアートの本場の雰囲気を体験してもらっています。さらに今年はアムステルダムの有名アートスクール「Gerrit Rietveld Academie」への視察も行い、大きな刺激を受けたようでした。
 
このプロジェクトから旅立った25名には、上記の2人以外にも、2016年のパリフォトでシンポジウムに登壇した横田大輔、世界のフォトフェスで引っ張りだこの濱田祐史、海外ブランド企業とのコラボを数多くてがける伊丹豪などがいます。写真界の芥川賞と言われる2016年の木村伊兵衛賞ノミネート8人のうち、3人もがこのプロジェクト選出者でした。

アートフォトイベント「UNSEEN」。

アムステルダムでの「BEYOND 2020」の様子。

パナソニックが素晴らしかったのは、この毎年の写真家選出にあたり、パナソニックの商品であるLUMIXでの撮影にこだわらなかったこと、現地でパーティを開催して世界的フォトフェスへの招待券を提供し、写真家に海外のアートを巡る雰囲気をしっかりと味わう機会を与えてくれたこと、写真家と作品の選出はアートフォトでは世界的に著名な『IMA』編集チームに一任したこと、写真家の招待費用まで負担しているこどなどが挙げられると思います。
 
結果、彼らの生き生きとした写真が、パリやアムステルダムの人々を集め、そしてLUMIXというブランドに接するわけです。

「BEYOND 2020」、いよいよ東京展が開催!

その「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS」東京展が、10月5日(木)から天王洲・IMA galleryでスタートしました(http://beyond2020.jp/)。

 

10月5日(木)の18:00からのパーティには、今年の出展作家6名も勢ぞろいしましたが、彼らこそが世界に旅立つ写真家の卵です。またここまでの活動が評価され、東京展には文化庁の後援もつきました。LUMIXという固有名詞が冠についたイベントには、珍しいことのようです。
 
なぜ、パナソニックはこのようなプロジェクトを続けているのか……? 日本企業による日本人アーティストサポートの理想的な例として、10月13日(金)19:00からは、天王洲・amana squareで、セミナー「企業のアート活用事例にみる、新たな可能性」を開催します。
詳細は press@imaconceptstore.jp までお問い合わせください。
 
「BEYOND 2020」を4年間支えてきたパナソニックの坂本維賢さんと、現代アートコレクション6万点を保有し、アートサポートは常識だととらえているドイツ銀行グループの土井未穂さん、アートに優しい行政のために奮闘する文化庁の林保太さんの鼎談です。

最後に……。
今回、エルメスコレクション入りを果たした水谷吉法が、本年3月の「Yahoo! ニュース特集」のインタービューで次のように語っています。
 
「……LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERSに選出されたことで、写真家でやっていこうという覚悟が決まった」

プロフィール

上坂 真人

株式会社アマナ
執行役員

早稲田大学を卒業後、朝日新聞社、日経マグロウヒル社(現:日経BP社)を経て1990年にマガジンハウス入社。BRUTUS、CASA BRUTUS,GINZAをアドバタイジングディレクター。
2002年に日経コンデナスト(現:コンデナスト・ジャパン)入社。VOGUE&GQ、VOGUE.comを担当し、2006年にアシェット婦人画報社(現ハースト婦人画報社)入社。
2011年より株式会社アマナに入社。「living with photography」をスローガンに、アートを愛する文化的富裕層とアートリテラシーの高い企業を結びつける「IMA」プロジェクトを手掛ける。IMA online

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