COLUMN2017.10.31

【VISUAL INSIGHT vol.06】広報&企画担当者は必携! ショーやイベント撮影に役立つVRカメラ

 

テクノロジーライターの大谷和利さんが注目した、世界の先進的なビジュアルユースのトピックを取り上げる連載「VISUAL INSIGHT」。第6弾は、印象的な動画を撮ることのできるVRカメラをご紹介します。ひと味違う記録映像は、ショーやイベントの報告プレゼンテーションの際に、またSNSやオウンドメディアに掲載すると、きっと人目を引くはずです。

 

空飛ぶカメラで撮影したかのよう!?

トレードショーなどの視察に出かけて報告書を作成したり動画を交えたプレゼンテーションを行う必要があるときや、自社の新製品発表会などで記録映像を残さなくてはならない場合などに、困った経験はないだろうか?

たとえば、見るべきものが多すぎて、ブースで質問しているうちに注目した製品を撮り忘れていたり、タイミングを逸して肝心のシーンを撮り損ねていたという失敗。逆に、撮影に夢中になるあまり、自分の目でしっかり見て吟味することがおろそかになった後悔。あるいは、そもそも撮影が苦手で、見ていると酔いそうな映像が記録されてしまう困惑。

同じことは、会社の公式SNSやオウンドメディアなどに社員レポートを掲載するケースでもいえる。

もちろん、撮影担当の同僚やそれこそプロを連れて行ければよいが、そこまでできないことも多い。そんなときに、強い味方として利用できる民生用のVRカメラが、ついに登場した。それが、1/2.3”サイズのソニー製CMOSセンサーを2基搭載するInsta360 One(インスタ・スリーシックスティ・ワン)だ。

今回の手法で大阪城を紹介する動画を作ってみたので、まずはご覧になってほしい。

基本的には、2,400万画素で7K相当(6,912×3,456ピクセル)の360度写真と4K相当(3,840×1,920ピクセルで毎秒30コマ)の360度動画を撮影でき、毎秒60コマのスローモーション撮影では2,560×1,280ピクセル、同じく毎秒120コマでは2048×512ピクセルの特殊な映像を記録することが可能となっている。
 
これまでもこの種の全天球カメラは、住宅メーカーや不動産会社が物件の内部を紹介するWebページの画像制作に用いられたりしてきたが、今回は進化したVRカメラがなぜ一般的な企業の業務に役立つのかを説明してみたい(ちなみに、Insta360 OneはiOSデバイスのみをサポートし、現時点ではAndroidへの対応は未定だ)。

Insta360 One本体はカプセルのような形状で、単体もしくはiOSデバイスに接続して利用する。筐体の両面に1基ずつ搭載された画角210度の魚眼レンズを保護する携帯ケースは、簡易スタンドも兼ねる。
 

一般にVRカメラは、このような超広角映像や、インタラクティブに任意の方向を見ることができる仮想現実的な映像制作に利用される。

 

実は、Insta360 Oneの1番の売りは、先の仕様で触れた特殊な映像にあり、「バレットタイム」(英語の発音は「ブレットタイム」に近い)と呼ばれている。しかし、ここで紹介したいポイントは別にあるので、バレットタイムは最初に軽く触れるだけに留めることにする。
 
簡単にいえば、映画『マトリックス』で主人公のネオが銃弾を避けるシーンで使われた技法(https://youtu.be/bKEcElcTUMk)を手軽に再現できるものだ。本来は数十台のカメラを同期させて撮影する必要があるが、Insta360 Oneでは(視点移動の軌跡に制約はあるものの)1台で手軽にシミュレート可能となる。
 
その方法は、製品に付属のテグスや自撮り棒の先にInsta360 Oneを付け、バレットタイムモードにして振り回すだけ。高度な6軸手ブレ補正機能とスローモーションの組み合わせで、滑らかなバレットタイム映像(https://youtu.be/GrOmKKSRu8c?t=1m30s)ができあがる。

バレットタイムモードでは、ヒモや自撮り棒の先に付けたInsta360 Oneを、円を描くように振り回すことによって……。
 

動きのある被写体の周囲を空飛ぶカメラで撮影したかのような映像が得られる(自撮り棒は自動的に映像から消去される)。
 

これはこれで非常に面白い演出手法なので、インパクトのある映像がほしいときなどに企業サイト内で使ってみてもよいだろう。
 
しかし、本当にオススメしたいのは、後追い再撮影機能とでもいうべき「フリーキャプチャー」編集(https://youtu.be/GrOmKKSRu8c?t=58s)だ。
 
これは、4K解像度で撮影された全天球動画をiOSアプリ上で再生しながら、自分がその空間にいるつもりになって、見たいものに合わせてデバイスを動かしたりデジタルズームしたりすることで、縦横比16:9のHD動画として保存できるというもの。つまり、撮影時には被写体の方向や画角を気にすることなくシーンを丸ごと撮影しておき、後からじっくり注目したい部分にフォーカスした動画を書き出せるのである(冒頭の大阪城の紹介ビデオも、このフリーチャプターをメインに、一部バレットタイムを組み合わせて制作されている)。
 
フリーキャプチャーの作業はイベント撮影後に会社に戻ってから行うことが可能で、そこだけビデオ撮影に慣れた同僚に任せてもよい。画質的にはプロのコマーシャルユースには向かないが、プレゼンテーションやWebメディア上でのレポートならば十分なレベルにある。
 
特に便利なのが、一眼レフなどの上にアクセサリシューを利用してInsta360 Oneを取り付け、全天周動画を撮り続けながら、これはという被写体は別カメラでも撮影しておくというやり方だ。このようにすれば、確実に撮り忘れを防止できることはもちろん、場の雰囲気とディテールを同時に押さえられる。また、Insta360 Oneのような前後2眼式の360度カメラは、原理上、極端な明暗のある風景の撮影では白飛びを起こしやすいので、光り輝いていることの多いブース看板などを別撮りしておけるメリットもある。そして、たとえば急に同僚や上司から、展示されていた製品だけでなくブース全体のデザインも見たいといわれたとしても、対処することが可能となる。
 
さらに、特定の被写体の動きを追いかけるように自動でキャプチャーしてくれる「スマートトラック」機能(https://youtu.be/GrOmKKSRu8c?t=1m12s)もあり、これはセミナー講師の記録を残す場合などに利用できるだろう。

フリーキャプチャー機能を使うと、あたかも自分がその空間に居るかのように、360度映像からHD動画を切り出すことが可能だ。
 

スマートトラック機能では、360度映像内でこのように目的の被写体を緑の枠で囲むと……。

その被写体が中央付近に来るように調整された動画を、簡単に自動で生成できる。
 

このようなカメラを使って360度撮影に慣れておけば、将来的にVR映像をプロに依頼することになっても、的確なアイデアや指示を出すうえで大きな助けとなるはずだ。
 
まずは習うより慣れろの精神で、新たな写真や動画のあり方に親しんでみてはいかがだろうか?
 ※キャプチャーは、公式Youtubeビデオ(https://youtu.be/GrOmKKSRu8c)より。

プロフィール

大谷 和利|Kazutoshi Otani

テクノロジーライター、AssistOnアドバイザー

デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。著書に『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』(アスキー新書)。『iPhoneカメラ200%活用術』(枻出版社)、『スティーブ・ジョブズとアップルのDNA』(マイナビ)『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社)、『ビジュアルシフト』(宣伝会議)、『ICTことば辞典』※共著(三省堂)など。

 
 

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