THINK2017.11.21

【ドローン対談】空撮に賭ける2人が語る、ドローンの魅力と可能性

横濱 和彦

株式会社アマナビ
空撮運営部 マネージャー アマナドローンスクール校長

 

もしかして、見る人以上に、撮る人を引きつけている? YouTubeの「空人ちゃんねる」で空撮作品が評判のドローンフォトグラファーの長塚誠さん(トライポッドワークス)と、広告撮影のエキスパート・横濱和彦(アマナビ)の夢の対談が実現。ドローン撮影の魅力を、大いに語り合ってもらいました。

 

ある日突然、ドローン空撮に挑戦したくなった理由

横濱和彦(以下、横濱。敬称略):僕らは、CMの中で使われる2秒のシーンを仕事として依頼されて撮っているので、実は、長塚さんのように、尺の長い作品を自由に撮っているのを見てうらやましいなと思っていました(笑)。
 
長塚誠(以下、長塚。敬称略):ありがとうございます。3年前に最初のドローンを買って、完全に趣味の範囲で空撮を始めました。あるテレビ番組でイギリスの式典を空から撮った映像が流れていて、「なんだろう、このゆったりとした撮り方は」と思ったのがきっかけです。ヘリコプターではないし、「もしかして、これがドローンっていうやつか」と興味を持ったんです。
 
横濱:僕もその映像を見た記憶があります。

長塚:それで、すぐさまインターネットで調べて、一番手頃なPhantom(ファントム)2を買いました。近くの公園で飛ばしてみたら、すごく面白い映像が撮れたので、家族や友達にも見せてあげたんですけど、最初はすごいねと言ってくれるんですが、みんなすぐに飽きちゃって......。人にちゃんと見てもらえるように、動画の編集もやってみようと、一人でいろいろとソフトをいじってきました。

 

横濱:いわゆる運動会のビデオと同じですよね。ドローンで撮った本人は、カメラが移動するという独特な映像が撮れて感動するものだから、みんなも感動するだろうと思って見せまくるんだけど、見せられるほうは「この映像何分続くの」みたいな雰囲気になってくるんですよね。
 
長塚:撮り始める前は、失礼ながら、映像作品にも興味がなかったんです。自分でやってみて楽しさに気づいて、週1回はどこかへ撮影に行き、映像を作ってYouTubeにアップしていたら、チャンネル登録をしてくれる方が増えて、メッセージもいただくようになりました。一緒に飛ばしに行かないかという話になり、そこで初めて2人の仲間と出会い、3人で飛ばしに行くようになりました。
 
横濱:僕も最初に始めた時は一人でした。飛ばそうと思って河川敷に行ったんだけど、一人だとなかなか勇気が出なくて。でも3人になると違いますね。
 
長塚:そうなんです。赤信号みんなで渡れば怖くない的な(笑)。撮影する場所は自分が決めるんですけど、インターネットで「関東 絶景」を検索して出てきたところへ行きます。そうやって、大井川鐵道の湖に浮かぶ駅があることを知って、ぜひ撮影したいと思い、大井川鐵道の許可を得て、いつものメンバー3人で撮影に出かけたんです。その後、コンテストがあるという話を聞いて、初めて応募したんです。
 
横濱:優秀賞を獲った『大井川鐵道』ですね。ドローンの歴史は浅いとはいえ、いきなり優秀賞は快挙ですね。
 
長塚:ありがとうございます。


最後まで見てほしい! 飽きられないムービーはこうして作る

横濱:長塚さんの作品はストーリー性の高さが魅力ですが、映像制作のこだわりはありますか。
 
長塚:自分の一番のこだわりは、見ている人が飽きのこない動画作りです。最後まで見てもらうために、どうすればいいか考えたら、先ほど横濱さんがおっしゃったように重要なのは「時間」だったんです。10分は長すぎる、5分でも長い、やっぱり3分以内だなというのを自分なりに見つけました。映像の次に大切なのは音楽だと思うんです。音楽のサビとメロに映像を組み合わせたらストーリーができる。それを、いつも心がけています。

横濱:ミュージックビデオの撮影だと、Aメロ、Bメロ、サビの内容に沿った映像というのがルールのようにあって、それでストーリーができますが、CMの場合は逆に、起承転結にこだわらず、インパクトの強い映像が求められます。たくさんカメラをまわして、30秒のCMのうち空撮は2秒が2カ所、あっても3カ所という世界。3分の作品を作るのは夢ですね。

長塚:動画を1時間撮ったとしても、作品は2、3分。捨てる勇気が必要ですね。
 
横濱:そこですよね、割り切らないといけないのは。編集で工夫していることはありますか?

 

 

長塚:YouTubeで自分の動画が何分、試聴されたかわかるんですが、3分の動画だとみんな1分半しか見ないんです。どうしたらいいか悩んだ挙句、見てもらいたいカットを最初にチラ見させることを思いつきました。「なんだ、この絵!」と思わせておいて、最後のサビの部分にまたその映像を持っていきます。
 
横濱:つかみですね。だいたいCMでは、つかみのために空撮が使われるんです。ちょっと違う絵を空撮で見せて、最後の抑えに空撮を入れると、同じ30秒間で伝わるスケール感が違ってきます。
 
長塚:空撮だけでは飽きられてしまうので、タイムラプスとか地上からの絵も入れたらいいんじゃないかと思い始めて、最近は手持ちのカメラで歩いている人を撮ったりしています。
 
横濱:広告もそうですが、インサートといって1秒ぐらいの、花などのカットを差し込んだりすると意外と飽きられない。大井川鐵道のようなダイナミックな絵を撮っている間に、線路の横に咲いている花を見つけて、アップにすると効果がありますね。
 
長塚:だんだんわかってきました。でも、まだ試行錯誤は続きそうです。
 

自分の限界を超えろ! 飛ばし方が変われば、撮れる映像も変わる

長塚:『大井川鐵道』は、私の代表作ではありますが、これが完璧という作品はまだありません。作ってみるともっとできたなと後悔してしまって、常に新しいものを求めてしまいますね。編集ソフトも常に進歩しているので、1年前の動画を見ると、「もったいない、もっとできるのに」と思ったりします。
 
横濱:自分の限界点を超えるには、操縦方法を変えてみるのが一番いいですね。
 
長塚:操縦方法ですか?
 
横濱:たとえば、ずっと地上に立っていたら木の上のことがわからなくて、木を避けようとつい遠くに飛ばしてしまいますよね。でも、高い位置に立って、自分の目線を上げてみると木のてっぺんが見える。そうすると、すれすれのところを攻めることができて、撮る映像が変わってくるんですよね。

 

長塚:なるほど、そうかもしれません。
 
横濱:あとは、最近はやりのFPV(First Person View)ですね。要するに、機体にカメラを付けてパイロット目線で操縦するわけですが、そうすると、論理上は空を自由に飛べて楽しくなってくるし、撮れる映像も違ってきます。
 
長塚:FPVゴーグルを着けると、まさに自分が飛んでいるような感覚になります。

横濱:今は、航空法でドローンのFPV撮影は禁止されているので許可が必要ですが、電波法は改正されて、今までの100倍の1kwのパワーが使えるようになりました。使う人のスキルが上がってくれば航空法も改正されて、場合によっては飛ばしていいとなるかもしれません。国交省は総務省と協力して2020年までに全面許可が出せるようにしたいと言っています。

 

長塚:機材はどうですか? 僕はPhantomやINSPIRE(インスパイア)しか持っていないので、ドローンにものすごい大きなカメラを積んでCMに近い空撮もしてみたいです。INSPIREは、CMの撮影には使えませんか?
 
横濱:すでに条件付きで使い始めています。ただ、CMを撮るカメラマンやディレクターは、レンズの違いを知っているので、地上でタレントさんを撮っている同じカメラをそのまま飛ばしたいという要望が強いんです。我々としては、それを飛ばしてあげようというところから事業をスタートしています。
 
長塚:それで専用のドローンをカスタマイズして作っているんですね。今もそのドローンを?
 
横濱:2014年から代替わりはしていますが、今も同じモデルを使っています。ただ、バッテリー1セットで5分しか飛ばないので、その中で要求されるカットを撮らなければなりません。しかも、CMのチームはおよそ20~30人、大御所のタレントさんが来ると、40~50人になるので、その中で飛ばすのはプレッシャーがありますね。
 
長塚:それは緊張しますね。ほんとうに憧れです。

 

まだ誰も見たことがない映像を、ドローンで実現したい

横濱:長塚さんは、今やプロとして活躍していますが、趣味の撮影とのギャップを感じることはありますか?
 
長塚:はい。以前は経理の仕事をしていたんですが、ドローン撮影が楽しくて、これを仕事にできたらいいと思っていました。趣味との違いと言えば、個人で撮りたくても撮れない場所を、仕事だと撮らせてもらえることです。その代わり、絶対に失敗はできません。個人の撮影だったら無茶するかもしれませんが、「こういう絵が撮れるけど我慢するか」となりますね。
 
横濱:仕事での撮影は、足りなくてもダメだし、やり過ぎてもダメ。本当にピンポイントなところを実現しなければならないという難しさがありますね。

 

長塚:依頼される仕事は、観光のプロモーションが多いのですが、空撮していて、お客さんに一番言われるのは「普段の見慣れた景色でもドローンの俯瞰映像を見ると新しい気持ちになる」ということ。嬉しいですね。
 
横濱:今までにない視点で場所やものを見ることができるので、視聴者が引き込まれているというのは、確かにありますね。
 
長塚:ドローンで撮ってみたいものはたくさんあるのですが、もし許されるなら高層ビル群の隙間を縫って夜景の撮影をしてみたいです。
 
横濱:僕は、個人的に車が好きなので、サーキットとか、そういうところに行くと仕事を忘れて撮ってしまいますね。スピード感のあるものが好きなんです。
 
長塚:レースの車と並走して真横から撮るなんてこともできますね。最初にも話したのですが、ヘリコプターとは違う、絶妙な高さからの空撮がドローンの魅力です。
 
横濱:趣味で撮るなら、知床半島をゆったりと一周しながら、低空で熊に遭遇したりして、尺の長い映像を撮りたいですね。表現力の豊かさもドローンならではですね。
 
長塚:それもいいですね。見てみたいです。 

 

 

横濱:ドローンはいずれカメラの種類の一つになるでしょうね。ここにあるINSPIRE 2のコンセプトはそこなんです。このカメラは、映画やCMを撮る時の4K/60Pというスペックに対応していて、RAW収録ができ、各種ファイル形式に対応しています。しかも、スタビライザーが付いているから、機体を手で持って撮影できるんです。全部このカメラで撮ったというショートフィルム作品もあります。
 
長塚:見る人を感動させるのは、永遠の目標です。素晴らしい場所なのにヘリコプターやクレーンでは撮影できない、でもドローンならできる。そういうものにチャレンジしたいですね。
 
横濱:今、新しい取り組みをしていて、1キロワットのLEDをドローンに付けて夜中に飛ばすと、光が当たったところだけ昼間のように映るんです。まったく新しい世界です。
 
長塚:考えるだけでワクワクします。ドローンは空撮以外にも農業や測量、在庫管理など、いろいろな活用法があり、今後も伸びていく分野だと思います。この先もドローンに携わり、その可能性を追求していきたいです。
 
横濱:なにしろ、空を飛ぶことは人類の夢ですからね。鳥がうらやましいと思っている人はたくさんいると思うんですけど、とりあえず目だけは飛べるようになったという感覚を持つことができたので、死ぬまでドローンで飛び続けたいですね。

プロフィール

長塚 誠

トライポッドワークス株式会社 
ドローングラファ

会社勤務時代に趣味でドローン撮影を始め、YouTubeに「空人ちゃんねる」を開設。ドローンや編集の知識ゼロからスタートして、2016年のドローン動画コンテスト#PORT03316で『大井川鐵道』が優秀賞受賞。同年12月より、ドローンフォトグラファとしてトライポッドワークスに勤務し、自治体のPRビデオなどの撮影・制作を手がけている。JUIDA認定スクール講師。

プロフィール

横濱 和彦

株式会社アマナビ
空撮運営部 マネージャー アマナドローンスクール校長

ドローンによる空撮を専門とする新進気鋭の撮影部隊airvisionを率いるかたわら、アマナドローンスクールの校長をつとめる。airvisionでは大型のドローンを主力とし、高性能な撮影機材を用いた広告撮影や、ドラマのムービー撮影などを担当。国内のドローン撮影の草創期から独自に研究・ノウハウの蓄積を行ってきたことから、日本屈指のドローン撮影の先駆として注目を集めている。

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