STUDY2016.5.26

参考にしたい、VRのメリットを活かした業界別活用事例エンタメだけじゃない、VRコンテンツがユーザーにもたらす新体験とは?

岡本 崇志

株式会社アマナ
プロデュースDiv./VRコンテンツ戦略チーム 執行役員

出典:Nike Hypervenom II - The Neymar Jr. Effect, A Virtual Reality Experience


「VRって結局、ゲームの世界をリアルに体験するものでしょ…?」。クライアントの方からときどきそんな声をいただくことがあります。確かに一般向けのVRはもともとゲーム用に開発された技術ですし、ゲームや映像作品との相性は抜群ですよね。
 
特に今年はOculus RiftやPlay station VRなど、家庭向けのヘッドマウントディスプレイ(HMD) が続々とリリース&発表されているので、私も含めてVR制作に携わるプランナーやデザイナーは、エンタメ系のVRコンテンツの企画・制作に携わっていると思います。
 
しかし、VRの使いどころはエンタメ分野だけではありません。VRには、省スペース&低コスト化、VRならではのユーザー体験などいろいろなメリットがありますし、エンタメ系以外の分野や業界でも、アイデア次第でその分野ならではの使い方ができるんです。そこで今回は、VRのメリットを活かした事例や、最近私が個人的にも注目しているエンタメ以外でのVRの活用事例についてお話ししたいと思います。

 

Case1. キッチンを瞬時に模様替え&子供の目線でレイアウト確認

「IKEA VR Experience」

最初にご紹介するのは、家具メーカーのIKEAが提供している、ヘッドマウントディスプレイHTC Viveを利用したVRショールーム「IKEA VR Experience」です。ユーザーはHMDを装着して最大4m×3mの空間を歩き、コントローラーを操作することによって、あらかじめ用意された3種類のキッチンのデザインを瞬時に切り替えたり、家具の引き出しを開け閉めしたりすることができます。
 
私がちょっといいなと思ったのは、VRならではの視点の高さを自由に変えられる機能。お子さんの目の高さからキッチンのレイアウトを見ることができるので、調理器具や家具の配置がお子さんに危険を及ぼすようなケースも、購入する前にあらかじめ確認して防ぐことができるんですね。
 
「実際に作ったらどうなるか」というシミュレーションを提示できるインテリアや建築、車はVRと相性の良い分野です。絵や設計図だけではちょっとイメージしづらいものも、VRを使えばより具体的なイメージをユーザーに与えることができます。

 

 

 


Case2. 車種からインテリアまで自由自在に選べる

AUDI のVR体験型ショールーム

続いては、今年1月にラスベガスで開催された「CES 2016」で話題を呼んだ、自動車メーカーAUDIによるHTC Viveを使ったVRショールームです。2つのモードが用意されていて、ひとつはHMDを装着したユーザーがタッチスクリーンの操作で車種やカラーを選び、運転席に座ってインテリアやパーツを確認することができるというものです。
 
もう一方のモードでは、同じくHMDを装着したユーザーが、車から半径約20m範囲の空間を自由に歩き回り、外装やパーツを閲覧することができます。このコンテンツでは、車体は実写と同じレベルにレタリングされ、エンジン音を3Dオーディオで再現するなど、ユーザーの没入感を高める工夫がなされています。

出典:Audi at 2016 CES

 


Case3. 過酷な高山トレッキングをリスクフリーで体感

MERRELL 「TRAIL SCAPR」

VR × アウトドア。一見、関連性の低そうな組み合わせですよね? でも、そんなアウトドア分野にもVRを活用した事例があります。アメリカのアウトドアシューズブランドMERRELLが2015年のサンダンス映画祭に出展したVRによる高山トレッキング体験プログラム「TRAIL SCAPR」です。
 
ユーザーはMERELLのシューズを履き、Oculus Riftを装着して、高山の自然環境を再現したセットでVRのトレッキングを体験できます。セット中には断崖絶壁に掛けられた吊り橋なども再現されていて、ユーザーはスリルを味わいながらリスクを伴うことなく、過酷な自然環境を味わうことができます。
 
このコンテンツのポイントは、視界、聴覚だけでなく、風による刺激によってユーザーの没入感を向上させている点だと思います。没入度を高めることにより、作り物の環境でも本物のような錯覚を引き起こしてVRの体験度を高め、製品の機能訴求(履き心地)に繋げています。

出典:AdGang / ADWEEK

 

Case4. ニューヨークの留学生活を360°シミュレーション

「360°VR Tour of EW New York」

「留学する前に授業の様子や生活環境や確かめたい。でも下見にはなかなか行けないし・・」。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。そんな留学希望者のニーズにVRで応えるのが、留学事業を展開するイー・エフ・エデュケーション・ファーストがYoutubeに公開したVR動画「360°VR Tour of EW New York」です。

動画では実際の授業風景やキャンパスの様子、周辺環境に加えて、ボランティアワーク、旅行といったイベントが紹介されていて、お金と時間をかけて現地に赴かなくても360°のVRで再現された現地の留学生活をシミュレーションすることができます。同社では同様にロンドン留学を体験できる「360°VR Tour of EW London」も公開しています。


留学は実際行ってみないと分からない事も多く、写真や動画だけではピンとこない点もありますが、360°自由に見られるこうしたVRコンテンツにより、ユーザーが納得する材料を提供することができます。このコンテンツも、これまでユーザーのニーズに応えることができなかった点をVRによって解決した事例といえますよね。 


Case5. VRの「視点」を活かした動画プロモーション

「スター・ウォーズ」&「NIKE」

最後にご紹介するのは、最近いろんなメディアでも取り上げられている動画プロモーションのVR事例です。ユーザーのアクションによって視点が変化するVRの特性は、動画プロモーションの領域でも活用されています。
 
なかでも個人的にお気に入りなのが、昨年Youtubeに公開された「スター・ウォーズ」のVR動画。作品中に登場するアンドロイドR2-D2の主観で視点を360°変えながら、スター・ウォーズの世界のディテールを楽しむことができます。これは新鮮ですよね。

また、スポーツメーカーのNIKEは、新作サッカーシューズのプロモーションとしてサッカーブラジル代表・ネイマール選手の視点にフォーカスしたVR動画を公開しています。試合中のボールの動きや選手の息遣いまで再現しているので、ユーザーは試合に参加しているかのような感覚を味わえます。




 

VRならではのメリットを活かした5つのビジネス導入事例、いかがだったでしょうか? もう「VRとは無縁の業界にいるから…」なんて思うことはないですよね? 家庭用HMDの発売に加え、Appleがヴァージニア工科大学からVR研究の第一人者をVR開発チームに招くなど、今年になってビジネスシーンでもVRをめぐる動きがますます活発化しています。
 
アイデアや工夫次第で使い方が広がり、訴求力もアップするVRは、皆さんの業界でもきっと活用できるポイントがあると思います。VRを新しいビジネスツールとして捉えて、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

プロフィール

岡本 崇志

株式会社アマナ
プロデュースDiv./VRコンテンツ戦略チーム 執行役員

2000年アマナ入社。
企業の広告キャンペーンのビジュアル・TVCM・Web等、プロデューサーとして幅広いコンテンツの企画・制作プロデュースを担当。

現在はVRコンテンツの企画・制作を行うプロジェクトチームのリーダーとして、企業活動におけるテクノロジー活用を模索し、ビジュアルコンテンツを軸に様々な提案やセミナー等を行う。

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