2016.8.24
ストックフォトやイラストの模倣、パクリはどこまで許される?【写真の権利連載#4】これだけ押さえれば安心!
佐々木 孝行
株式会社アマナイメージズ
取締役

アマナイメージズの佐々木です。今回は他人の表現の模倣、いわゆる「パクリ」についてお話をしたいと思います。東京オリンピックのエンブレム問題の際は、連日この話題がネット上にあふれ返りました。それまでデザインの分野に全く無縁だった人々も含め、著作権というものに感心を寄せ、学ぶきっかけになったと考えれば、それなりに意味のある出来事だったかもしれません。
この「模倣」や「パクリ」いった実に壮大なテーマについて、著作権法全体と照らしてお話するほど残念ながら私には知識がありませんので、私がかかわっているストックフォト素材の活用現場で比較的起こり易い場面を例にとって、そこでの問題点やリスクについてお話をしたいと思います。
場面を三つ想定してみました。
1:ストックフォトで作ったカンプとそっくり同じ構図で撮影をするケース
2:他人の写真からイラストを書き起こすケース
3:他人のイラストを加工して別のイラストを起こすケース
いずれもよくありそうな場面です。
CASE1:
ストックフォトで撮影用のカンプを作成
その構図のまま新規撮影をする
とくに広告ビジュアルの制作現場では、よくあるシチュエーションだと思います。クライアント向けのプレゼン資料において、完成予想図(カンプ)にストックフォトを使って、それと同じ構図で撮影を行うケースです。この行為には、2つの問題が潜んでいるんです。
まず一つ目ですが、新規の撮影案件にもかかわらず、ストックフォトをカンプ制作に使用している点です。一体何が問題なの?と思いますよね。
実はストックフォトの利用規約で認められている「カンプ使用」とは、あくまでもその素材そのものを使用するかどうかを検討するために認めているのであって、最終的に素材そのものが使用されない撮影用のカンプとしては使用を認めていません。このことをきちんと理解している人は結構少ないのではないでしょうか。もっともストックフォト業界全体が、このことを長きに渡って黙認してきたのも事実です・・
さて、二つ目の問題は、ストックフォトで表現されている構図やアイディアを、無断で借用してしまっている点です。これまさに「パクリ」ですよね。
著作権法に、以下の条文があります。
著作権法 第27条「翻訳権、翻案権等」
著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
これはオリジナルの作者の独占的な権利として「翻案」することを認めている条文ですが、「翻案」とは、既存の著作物のアイディアを用いて新たな著作物を創り出すことをいいますから、元のストックフォトの具体的な構図や表現を、新規に撮影する写真表現に借用することは、この翻案権の侵害になる可能性があるというわけです。
大規模な広告キャンペーンで使用するメインビジュアルであればあるほど、トラブルが起きてしまった際のダメージも巨大になります。オリジナル作家への賠償金の支払いのみならず、クライアントやそのブランドへ与えるネガティブインパクトも計り知れないものがありますから、安易な模倣は絶対に避けなければなりませんね。あくまでもイメージを共有するためのサンプルとして使用するレベルに留めておく必要があります。
CASE2:
他人が撮影した写真からイラストを書き起こす
この行為も他人の著作物である元の写真の翻案にあたる可能性がありますからNGです。
写真を画像処理ソフトでイラスト調に加工して無断で使用することはもちろんですが、仮に手書きで模写したとしても同じことです。写真の輪郭線のトレース(線でなぞって書き写す行為)も翻案と見なされる場合がありますから要注意です。ケース1同様、参考にする程度にとどめておかないと、大変なトラブルに発展してしまうリスクがありますから、ぜひ肝に銘じておきましょう。
CASE3:
他人のイラストを部分的にトレース
または新たに加筆して別のイラストを起こす
こちらも、無断で行った場合はケース2と同様に他人の著作物
部分的であればバレないと思っても、オリジナルの作者には一発で見抜かれますし、一般人から見ても、線の流れや角度などの一致、全体のテイスト感の相似など、写真以上に模倣したことが分かり易いのもイラストの特徴です。実際にこの手のトラブルは後をたちません。ぜひとも注意していただきたいと思います。ただし、正規にライセンス購入したイラスト素材を、
市販のストックフォトであっても、
「偶然似てしまった場合は大丈夫でしょうか?」
これは、私が講師を務めるセミナーで度々いただく質問の一つです。
はい、偶然の一致は何ら問題となりません。それと、仮に何かを参考にしたとしても、元となる作品にそもそも表現上の独創性が認められない場合は、侵害そのものも発生しないとされていますから、極端に神経質になる必要はありません。
「どこまでのパクリだったら許されるのでしょうか?」
こちらもよくいただく質問ですが、










