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  • なぜWeb動画広告は6秒なのか?
Web動画広告の基礎知識とリアル | vol.01 2019.12.18

なぜWeb動画広告は6秒なのか?

赤井健二郎
株式会社アマナ
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ここ数年で急成長し、2024年には5000億円規模にも達するといわれる動画広告市場(※1)。なかでも“Web動画広告といえば6秒”といわれています。その理由や背景について、短尺に特化した動画広告を得意とする株式会社6秒企画の中野達也さんと磯野伶央さん、そしてアマナの赤井健二郎に聞きました。(※1.サイバーエージェント オンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べ)

人間の集中力は、金魚よりも劣っている!?

動画における6秒という尺は意外と伝えたいことが伝えられる?

<PROFILE>中野 達也|なかの たつや(イラス右上)、磯野 伶央|いその れお(イラスト右下) 株式会社6秒企画 プランナー。株式会社6秒企画は、短尺に特化したWeb動画広告の企画・制作を行う会社。株式会社サイバーエージェントの子会社で、広告効果を最大化する6秒動画広告を得意とする。 赤井 健二郎|あかい けんじろう(イラスト左)株式会社アマナ プロデューサー。Web動画/グラフィック広告からLP制作まで幅広い制作物をプロデュース。最近のメインはWeb動画広告。サイバーエージェントの「6秒企画」と組んだ広告案件を多く担当している。

赤井健二郎(以下、赤井。敬称略): Web動画広告を作るとき、最近は「“6秒”は必ず作ろう」ってなることが多いですよね。なぜ“6秒”なのか、“6秒”でちゃんと伝わるのか、その辺りからまず話したいと思います。

中野達也(以下、中野。敬称略):まずは、月間視聴者数が世界で15億人を超えているといわれるYouTubeを見ていると動画コンテンツを再生する前に約6秒間の動画が流れますよね。「バンパー広告」というのですが、その影響は大きいと思います。(※2)
※2.2016年にYouTubeが、動画コンテンツ再生前に約6秒間の「バンパー広告」を始め、それ以降インストリーム広告全体の2%程度だった6秒以下のバンパー動画広告が、翌2017年には13%に伸びた。(ビデオリサーチインタラクティブ「Web Ads Report Advance 動画広告統計」より)

磯野伶央(以下、磯野。敬称略):最近だと、YouTubeの1つの動画コンテンツにバンパー広告が2枠入ることもあり、そんなところからも“6秒”のニーズが増えているなあと感じられます。ただ、「まだ広告が続くの?」と感じるユーザーもいるとは思うのですが……。
それに、サイバーエージェントオンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べによると、動画広告の中で、インストリーム広告、インフィード広告が全体の8割を占めていて、その中でもバンパー広告は、インストリーム広告の中で多くの割り合いを占めています。そんなところからも、“6秒以下”の市場は伸びているのではないでしょうか。

中野:そうだよね。「TVer」や「AbemaTV」でも6秒のWeb動画広告をやっていますし。“6秒”はWeb動画広告の市場ではメジャーな尺。それに、どのプラットフォームにおいても、短尺動画のパフォーマンスは高くて、効果が出ているんです。

赤井:なるほど。でも、なぜ“6秒”なんでしょう……。疑問に思う人もいるのではないでしょうか。以前、人間の集中力が続かなくなっているという話が話題になりましたが、それがきっかけだったりするのかな?

中野:ありましたね。金魚の集中力は9秒で、現代人の集中力が8秒(※3)というデータ。金魚よりも人間の集中力の方が劣っているという研究機関の発表ですよね。
※3.2015年に米マイクロソフトの研究チームが、2000年では12秒だったヒトの集中力の継続時間が、2013年には、金魚の集中力の継続時間9秒よりも短い、8秒だったと発表した。

磯野:ありましたね。最近だと、アメリカのハリウッドを中心に、スマートフォン向けの短編映像制作が熱を帯びてきているらしいんですよ。一話6〜10分程度の作品を作っていると聞きました。一話が10分以下って……。すごくないですか? さらに、アメリカの「Quibi(クィビ)」は、朝の7時から夜の7時まで、スマホなどテレビ以外のデバイスで動画を見る人をターゲットにしているといいますし。

赤井:確かに、通勤中に40分の動画を見るかと言われたら、なかなかハードルが高いなと感じるけれど、10分以下だったら見ちゃうかもしれない。集中力もあるけど、ゆっくり見てる時間がないんですよね。

磯野:そう、そこなんです。映画館で2時間の映画を観ようと思うと覚悟がいる。だから、スマホで10分以下の短い映像を観るという時代なんですよね。

中野:覚悟か……。スマホ時代らしい考えですよね。

磯野:僕たちの集中力は確かに短くなっていますね。同時に、短い時間に集中しないといけない忙しい環境の中で生きているから、短尺の映像はとても魅力的です。

赤井:そうすると「なぜ“6秒”か」というのは、人間の進化に合わせた当然の流れで、短くなった人の集中力にとっては有効なのかな。見てもらえて、市場も伸びているから、6秒のWeb動画広告はこれからもっと増えるでしょうね。

“6秒”は企業が伝えたいことを伝えるには、短い? 長い?

6秒で本当に伝えられるの?

赤井:短尺動画のニーズが高まっているのは分かりましたが、じゃあ、Web動画広告は6秒できちんとメッセージを伝えられるのかという点ではどうでしょうか? ちゃんと伝えられるといった確証、手応えみたいなものってありますか?

中野:そうですね。商品名やサービス名の認知が目的なら、“6秒”は問題のない尺だと思います。たとえば、商品のキャッチコピーと商品名をタレントに言ってもらい、そのあとの数秒は無音、なんて演出をすると、見ている側は「えっ? 何」と思うし、商品名が際立つから記憶にも残りやすい。このような演出は長尺だと表現しにくい。 “6秒”はあまりに短尺で言いたいことが伝えられないと思われがちですが、作り手の実感からすると意外に伝えたいことが言える尺なんですよね。

磯野:広告を通じて商品名を人の記憶に残したり、ブランドを認知させたり、購買欲を高めていくブランドリフト(効果)は、6秒のWeb動画広告が得意とするところなんです。尺が短いので、基本的にメッセージは1つに絞るので、必然的にフレーズや音楽も短くなる。短い音はアテンション、つまり注意喚起として記憶に残ります。だから先程、中野が言ったように、アテンションに似た効果が6秒のWeb動画広告では演出できるんです。加えて、短いフレーズや音楽を何度も聞くと自然に記憶に刷り込まれます。短いからこその効果はあると考えられます。True Viewインストリーム広告とバンパー広告今回話に出ているTrue Viewインストリーム広告とバンパー広告は、ユーザーが動画広告を視聴するかしないかで分けられる。「5秒後広告をスキップ」と表示が出るのがTrue Viewインストリーム広告、6秒完全視聴するのがバンパー広告という。

中野:それに、YouTubeのバンパー広告は6秒間強制視聴です。尺に制限のない「TrueView広告」だとフォーマットによっては途中でスキップされる可能性があります。もちろん、動画の目的と伝えたい内容によるのですが、“6秒”で作った広告の方が見られる可能性が高いですよね。

赤井:それは言えますね。しかも、クリエイティブ視点からみても、6秒でいかに企業のメッセージをユーザーに伝えていくかを考えるのも面白いし、挑戦しがいがあります。

中野:その気持ち、分かります。たとえばCMでも15秒と30秒があって、その中で15秒という短尺のハードルがあると思うんです。30秒あったらしっかり説明できるけど、15秒だと伝えきれない。それを撮影や編集などで工夫をしながら30秒と同じ世界観で15秒を作る。CMプランナーたちがずっとやってきたことですよね。それと同じような感覚で、これからどんどん工夫も挑戦もできるんじゃないかなと思います。

磯野:そうですね。「“6秒”では伝わらない」ではなく、“6秒、ワンメッセージ”で、どう伝えていくべきかWeb動画の構成や表現の方法を試していかないとですよね。ただ、最近Web動画広告を見ていると、表現方法がフレーム化されているなと感じることもあって……。

中野:あぁ、それわかるな。僕も現場にいて制作に携わっていて、なんとなくフレーム化されていると感じることがあります。だから、どうしたら“6秒”の中で新しい伝え方ができるのかを常に模索しているし、そのフレームから脱して、新しい表現ができればと思っていますね。

赤井:Googleがバンパー広告を「動画広告の俳句」って呼んでいるけど、いい俳句は何度も詠んで味わったりしますよね。同じように、もう一回見たくなるような、心にグッとくる “6秒”を作れるといいですよね。

中野:それはありますね。「また見たい」と思わせるのが大事なのかもしれません。

磯野:「また見たい」が大事というのは同感です。Web動画広告を見たユーザーが「また見てみたい」と思ったら、その企業のコーポレートサイトを検索するなどの行動を起こすきっかけにもなると思います。たとえばその時、企業側のサイトに、6秒よりも長尺の動画を置いておけば、続きのメッセージをユーザーは見られるし、企業も伝えたいことをさらに深く伝えられる。“6秒”の中だけの工夫だけではなく、全体プロモーションの中で、“6秒Web動画広告の役割”を戦略的に考えるのも必要なのかもしれません。

中野:そうだよね。バンパー広告でユーザーが見た“6秒”が心に残るものだったら、認知以上のものが届けられることもある。考え方をどんどん柔軟に広げていくと、”6秒”の意味がさらに広がっていきますね。

まとめ

YouTubeがバンパー広告配信を開始したことで、6秒のWeb動画広告の注目度は上がっています。現代人の低下した集中力にピッタリの「6秒」という制約は、ハードルが高いように見えてまだまだ表現の可能性も広がりそうです。配信するプラットフォームの環境変化に合わせてさらに短尺化が予測されるWeb動画広告で勝利を収めるには、6秒を制することが鍵になるかもしれません。

テキスト/安部朱美(bake30) イラスト/Shapre
写真/(c) YOSHIKO YAMASHITA/MottoPet /amanaimages
デザイン・作図/下出 聖子(amana design studio)

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