コンテンツマーケティングを成功に導く 「適切なゴール設定」と「効果測定」とは

多くの企業がコンテンツマーケティングの重要性を認識していますが、その最終的なゴールは様々。今回は約400社の企業に行ったコンテンツマーケティングに関する調査データから、コンテンツマーケティングにおける目的設定と効果測定についてのインサイトをひもときます。
コンテンツマーケティングは世界的な潮流に
企業は何を目的にコンテンツマーケティングを実施しているのでしょうか。リサーチの結果から見えてきたのは、次の2点です。
- 売上額向上(44.7%)
- 新規顧客開拓(43.0%)
ビジネスを大きく成長させるためのアプローチの1つとして、コンテンツマーケティングを活用しようとする意識が顕著です。
そして、「ブランド認知向上(32.8%)」「自社サイトへの集客(26.7%)」「顧客ロイヤリティ向上(23.5%)」といった目的が上位に続き、コンテンツマーケティングで達成すべき目的が多岐に渡っていることがわかります。一方で、「特にゴールは設定していない」という回答も17.0%あり、企業によって、コンテンツマーケティングの捉え方は、大きな違いがあります。
目的を達成できている企業の割合と課題
目的設定をした企業を対象にした「設定した目的を達成できているか」という質問に対してはどうでしょう。
- 「達成できていることがとても多い/概ね達成できている」(20.5%)
- 「あまりできてない/できてないことがとても多い」(37.5%)
達成できていない理由を回答してもらったところ、「コンテンツの認知が低い」「社内でコンテンツマーケティングの重要性が認知されていない」「対象に合った情報を提供できていない」「優れた人材がいない」など、原因を認識する企業がある一方、「アクセスは増えているが、それが売り上げに繋がっているかはっきりしない」「(そもそも)目的があまり明確ではない」という回答も見られました。目的を設定しているとしながらも、実際は効果と成果の因果関係を測定できていないケースも多いことが考えられます。
併せて、コンテンツマーケティングに対する課題を調査したところ、「従業員のスキル不足(40.8%)」「全体戦略の不足(35.3%)」「コンテンツの質と量の不足(33.8%)」「予算の制約(28.3%)」「コンテンツ戦略の設計の不足(25.0%)」が上位に並ぶ結果に。また、「目的を達成するために現在最も取り組むべき施策は何か」という質問に対しては、「優秀な人材の確保(20.5%)」が「効果的な全体戦略の策定(19.0%)」を上回りました。これらのデータから、「人材不足」によって、部分最適でしかコンテンツマーケティングに取り組めない現状が垣間見えます。
効果測定の実態と効果
コンテンツマーケティングを実施する上で、その成果の評価は必須。設定した目的を達成できたかどうかの判断をするための効果測定は、コンテンツマーケティングを成果へと繋げていくために重要なポイントの1つです。ですが、現状は少々厳しいと言えるでしょう。
- 「十分にできている/ややできている」(17.5%)
- 「あまりできていない/まったくできていない」(44.4%)
なぜ、効果測定をしないのか。その理由は様々ながら、大別すると「効果測定の具体的な方法を知らない」「効果測定を行う環境が整っていない」「リソース不足」の3つに集約されます。これらは、コンテンツマーケティングで目的を達成するための課題とも言い換えられます。
また、逆に、効果測定を実施している企業に、重視する数値目標を質問すると、圧倒的に多かったのが「営業利益(49.7%)」でした。そして、「顧客の継続契約数(32.1%)」「ブランド認知向上(30.9%)」「Webサイトへの流入数(20.9%)」と続く結果に。すなわち、このような課題は、コンテンツマーケティングの力で解決できると考える企業が多いとも言えそうです。
目的を達成するための現状の課題
効果測定の重要さは、企業も十分理解しています。「コンテンツ個別のパフォーマンス分析をベースにコンテンツの効果を最大化させることは重要だと思いますか」の問いに対して、57.5%の企業が「とても重要/やや重要だと思う」と回答。パフォーマンス分析を行うことで、PDCAが初めて実行可能になるものです。そして、コンテンツの数が増え、改善を行うことでその質が向上します。
しかし、現実には、パフォーマンス分析によってPDCAを回せていると回答した企業は、21.7%に過ぎません。44.4%の企業が、「あまり/まったくできていない」のが現状です。やるべきことができない原因をひとつずつ確かめる作業は、現状の課題を知ることにも繋がります。
1)コンテンツマーケティング実施における適切な目的設定
コンテンツマーケティングの目的の1つは、収益向上による事業貢献です。オウンドメディアを運営してコンテンツマーケティングを推進するのであれば、まずは目的と手段を適切に関連付けた上で、それぞれの手段や過程を具体的な数値(KPI)で管理する必要があります。
コンテンツマーケティングが上手くいっていないときに、どこに問題があるのかが把握できないと、コンテンツの制作や人材に予算を投入しても、ビジネスを加速することができません。コンテンツの質や量を高めるためにリソースを割く前に、まずは全体戦略の策定とKPIの設定を行いましょう。
2)効果測定の定期的な実施
施策の実行と効果測定は表裏一体。施策の効果を正確に把握しないことには、次の施策の方向性が定まりません。効果測定をしない企業が多いのは、新規顧客の増加、売上の増加、営業利益の増加といった、ビジネスにインパクトのある成果が出ていないため、なんとなく効果測定をしたくない、という心理的な要因があるのかもしれません。
コンテンツマーケティングは、すぐにはめざましい効果の出にくい遅効性のマーケティング手法です。はじめのうちは、質(パフォーマンス)よりも量、すなわち記事の掲載本数といったような、ひと目でわかるコントロールしやすいKPIを設定して効果測定を行い、着実にコンテンツ数を増やしていくことで、PDCAサイクルを確実に回すことを心がけましょう。
*本稿は、アマナが提供する成果予測AIを搭載したコンテンツ・オプティマイゼーション・プラットフォームOPTMS CONTENTにて、コンテンツに関する調査研究を行う「OPTMS lab.」より転載したものです。