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  • Web動画広告をプランニングするために知っておくべきプロの視点
Web動画広告の基礎知識とリアル | vol.02 2019.12.19

Web動画広告をプランニングするために知っておくべきプロの視点

赤井健二郎
株式会社アマナ
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Web動画において広告効果を最大化させるためのコツはなんでしょうか? Web動画広告を始める前に知っておきたい戦略的なプランニングやメッセージの届け方をプロ視点でご紹介します。

語ってくれるのは、6秒尺のWeb動画広告を得意とする株式会社6秒企画の中野達也さんと磯野伶央さん、そして一緒に多くの広告制作を手掛けているアマナの赤井健二郎です。

Web動画広告は“複数パターン”で勝負する

<PROFILE>中野 達也|なかの たつや(イラス右上)、磯野 伶央|いその れお(イラスト右下) 株式会社6秒企画 プランナー。株式会社6秒企画は、短尺に特化したWeb動画広告の企画・制作を行う会社。株式会社サイバーエージェントの子会社で、広告効果を最大化する6秒動画広告を得意とする。 赤井 健二郎|あかい けんじろう(イラスト左)株式会社アマナ プロデューサー。Web動画/グラフィック広告からLP制作まで幅広い制作物をプロデュース。最近のメインはWeb動画広告。サイバーエージェントの「6秒企画」と組んだ広告案件を多く担当している。

赤井健二郎(以下、赤井。敬称略):今回のお題はWeb動画広告における“プランニング”です。ただ、プランニングといっても幅が広いので、「Web動画広告をプランニングする際に知っておくべきこと」という点で話しましょう。

中野達也(以下、中野。敬称略):そうですね。僕たち制作側にとっては当たり前なんですが、よく聞かれるのが、なぜWeb動画広告は“複数パターン”を制作するのかということ。まずはその理由から……。

磯野伶央(以下、磯野。敬称略):はい、僕が答えましょう。理由はただひとつ。広告効果を最大化させるためです。

中野: その通りです! Web広告は、各プラットフォームのアルゴリズム(ルール)から、広告効果がないものと判断されると表示されなくなります。Web動画広告はユーザーとの接触頻度を保つことで、効果を出すのが前提なので、ユーザーの関心を得られず、見てもらえない動画は新しい動画に差し替えることになります。このような運用を行うので、複数パターンの動画が必要なのです。

磯野: 広告効果を最大化するためには運用が大切ですね。ただ、数が多ければいい、というわけでもない。この“複数”という言葉のウラには、いろんな視点からプランニングしないといけないという意味が込められているのです。その理由は、6秒のWeb動画広告は1動画に対してワンメッセージが基本。なので、伝えたいことがたくさんある商品だと、場合によってはメッセージの数だけ“複数”作る必要が出てきます。一方、作った動画を配信するメディアもYouTubeのような動画サイトだったり、SNSだったりと複数ある。それぞれのメディアが抱えているユーザーも、広告枠のサイズ(画角)もそれぞれなので、メディアに合わせて“複数”作ることも必要なんです。もちろん、1つのメッセージに対して “複数”の表現を作るという場合もあるのですが。

中野: そのいろんな視点でプランニングした“複数”は掛け合わされて、さらに数が増えていきます。だから、Web動画広告の“複数”は数が自然と多くなるんです。

赤井: 中野さんと一緒に作った動画では、約100パターンというのが一番多かったですよね。でも、ベースとなる企画はメッセージを軸にして確か4つでした。

中野: そうでしたね。4つの企画に対して、画角をTwitter用に1:1、YouTube用に16:9、尺は6秒で……といろいろ掛け合わせた結果128。100を超える数になっていました(笑)。

効果を持続させる複数×運用とは

赤井: 理想的な数ってあるんでしょうか。

磯野: ありますけど、ナイショです(笑)。それこそ100パターン以上作ったり、運用専門のチームを設置するなどして、サイバーエージェントが今まで蓄積してきたデータから見えてきたことなので企業秘密なんです。ただ言えるのは、ユーザーの動向は常に変動しているということ。今日正しいって思ったことが、明日には変わっている可能性だってあります。だから、コツコツとデータを取って検証する運用が重要なんですね。

中野: そうなんです(深く頷く)。そして、Web動画広告でいうユーザーアクションのひとつに完全視聴率(※1)があります。たとえば、10本の動画を出稿したとして、運用においては完全視聴率のデータで反応が鈍い5本を作り替えて再投入していきます。配信されている10本の動画が、ユーザーとの接触頻度を高い位置で維持していかないと広告効果を出すスタートラインにも立てないことになります。
※1.動画が配信されたユーザーに対し、どれだけのユーザーが広告を視聴したか、という指標

赤井: なるほど。つまりは、ユーザーにメッセージを届けるために複数のパターンを作るのは当然、というわけですね。

“掴み”をちゃんとプランニングするのが大事

赤井: クリエイティブとしてはメッセージを届けるためのWeb動画広告の表現も気になるのですが、特に気にしておくべき点はありますか?

中野: そうですね。“掴み”、つまり動画の冒頭でユーザーを惹きつけることが大切です。ユーザーは最初の1.7秒で、動画を見るかどうかを決めると言われていますから、スキップやスワイプで逃げられないように、動画の冒頭にフックとなる仕掛けを用意しないといけません。

赤井: 1.7秒……。一瞬ですね。効果的なフックとは何だと思いますか? 僕は圧倒的に人物の顔なのではと思うのですが。というのも以前、あるコスメアイテムの認知のために3パターンのWeb動画広告を作ったんです。1つ目がキャッチコピーと商品のみのパターン、2つ目が人物の顔のアップが最初に出てくるパターン、3つ目がギミック(仕掛け)を使って商品から人物へと変わっていくパターン。その中で完全視聴率がよかったのは、ギミックを使って商品から人物を見せた3つめのパターンだったんです。次いで、最初に人物の顔が出てくる2つ目のパターンでした。

磯野: 人物の顔がフックになるっていうのは、同感です。あとよく使う手法として、人物がユーザーに語り掛けるという演出も効果がありますね。

赤井: 複数パターンの動画を作ることで、期せずしてABテストみたいな効果測定もできるのは面白いですよね。TVCMではなかなかできないこと。

中野: そうですね。“複数”と聞くと嫌厭する人もいるかもしれませんが、広告効果を最大化するためには、クリエイティブと運用の両輪をうまく回していくことが大切になります。クリエイティブで何をどうやって伝え、運用においてはどのようにして効果を出し続けるかをバランスよくプランニングしてきます。

“掴み”がある動画ってどんなもの?

「好きです」

——人気上昇中の若手女優の告白から始まるYouTubeの6秒のWeb動画広告。
「好きです」の言葉の後に、企業側が伝えたいことを盛り込み、企業名の認知へと繋げていく動画。この掴みの「好きです」がTwitterで話題に。ユーザーからは、「やばいな。かわいすぎる」「これ無限に見てられる」などの声が続出し、完全視聴率もよかったのだそう。
若手女優のまっすぐな視線と「好きです」というセリフで、ファン以外の男性の心も掴み、注目されたWeb動画広告。冒頭の“掴み”の大切さを表す事例です。

ユーザーにきちんと届けるための新しいやり方

赤井: ところで、6秒のWeb動画広告における、 “1動画にワンメッセージ”というのは、実際のところ絞り切れない場合もありますよね。

中野: 確かに、現場にいるとそういうこともありますね。その場合、配信方法で複数のメッセージを届けるというプランニングをすることもあります。

磯野: 1人のユーザーが接触するWeb動画広告の頻度に応じて広告を段階的に切り替えていく、シーケンス配信という手法です。最近、少しずつ採用されています。

中野: シーケンス配信は、1つ目のWeb動画広告を見た人が、次に接触してきた際に、2つ目のWeb動画広告を表示させるんです。2つ目のWeb動画を見たら、次は3つ目と……。配信を重ねることでストーリーとして伝えていくことが可能です。その結果、Web動画広告に関心を持った人に、複数のメッセージを届けることができるのです。

赤井: 検索数アップを目的に6秒と12秒のWeb動画広告を作って、1つ目の“6秒”を見た人に2つ目の“12秒”を見せるというシーケンス配信はやったことがあります。

磯野: シーケンス配信は、前後編など2つくらいのストーリーから配信してみると始めやすいかもしれませんね。ユーザーに届けるためのプランニングとして、今後注目していきたい手法のひとつです。

まとめ

“1動画にワンメッセージ”という原則と、広告効果を最大化するという課題。この2つの背景から生まれたのがWeb動画広告の“複数パターン”制作ですが、そのプランニングには、尺、画角、メディア、表現などいくつもの視点の組み合わせが必要。Web動画広告の制作では、TVCMなど他の動画制作以上にプランニング力が試されます。

テキスト/安部朱美(bake30)  イラスト/Shapre
写真/(c)sirinarth mekvorawuth / EyeEm/amanaimages
デザイン・作図/下出 聖子(amana design studio)

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