リモートワークに“雑談”を。ニューノーマルの課題感から生まれた新しいオンラインワークスペースのカタチ

コロナ禍でリモートワークを行う企業が増え、オンライン会議ツールが浸透することで顕在化した雑談の大切さ。今、多くの企業でコミュニケーション量が減り、気軽な会話から得る気づきがなくなっているといいます。

DXやICTを活用して社会課題を解決する「Smart World」の実現を目指すNTTコミュニケーションズでは、コロナ禍にオンラインワークスペース「NeWork(ニュワーク)」をリリース。SNSでも話題のサービスが叶える新しいワークスタイルのあり方について、開発チームに伺いました。

コロナ禍で求められた“雑談のチカラ”

新型コロナウイルスの影響により、あらゆる業界で求められているニューノーマルな働き方。多くの企業がこれからのワークスタイルを模索していた2020年8月にリリースされたのが、オンラインワークスペースの「NeWork™」です。

「NeWork」は、従来のWeb会議では難しかった、立ち話感覚でのちょっとした相談や雑談を活性化できるようにデザインされたコミュニケーションツール。ワークスペースにログインしておくと、まるで同じオフィスにいるかのように、チームやプロジェクトのメンバーに話しかけることができます。

「ニューノーマルな働き方が求められるなか、私たちサービス開発部隊も、ビジネスシーンでの会議や雑談に課題を感じていました。オフィスに集合するのではなく、分散して働くようになった今、すでに世の中にあるツールだけで満たされるのかというとそんなことはない。そこに課題を感じ、『NeWork』の開発を始めました」(大野智史さん/「NeWork」プロジェクトマネージャー)

「NeWork」はユーザーの体験価値を中心に据えたデザイン思考に基づいて開発され、さらにはプロジェクト立ち上げから約3ヶ月という短期間でリリース。3ヶ月という期間は同社にとっては異例だったといいます。

「どのサービスでもお客様の声を聞くことは前提にありますが、『NeWork』は短期間ながらも幅広くリサーチを行い、そこで見えたニーズを統合してコンセプトに落とし込んでいます。

リサーチインタビューで上がったのは、『リアルだと相手の様子がわかるから気軽に話しかけられたけど、リモートだと相手が今何をしているか分からないのでちょっとした連絡がしづらい』『雑談するきっかけがない』という声。こうした意見は最終的に3つの課題にまとめ、その課題を解決できるように設計しています」(武田透摩さん/「NeWork」コンセプトデザイン担当)

リサーチで見出した3つの課題

①コミュニケーションの絶対量が減少
通常の打ち合わせはウェブ会議ツールを使っているが、それ以外の時間でコミュニケーションを取ることは少なく、各自が淡々と作業を進めている。

②会議時間以外の余白の創出がしづらい
会議のときは話すものの、それ以外の場での気軽なコミュニケーションの場がなくなっている。

③雑談による新たな気づきやインスピレーションが減少
コミュニケーションの絶対量や余白が少なくなったことで、アイデアを生み出すためのチームの一体感がなくなっている。

こうした課題を解決すべく設計されたのが、ミーティングルーム(名称“ルームバブル”)をクリックするだけですぐに打ち合わせや雑談を始められる機能や、立ち話感覚で話しかけられるよう、「オープン(いつでもOK)」「ワーク(話しかけるのは可)」「ゾーン(集中時間)」の3つのモードによってアイコンの色が変化し、メンバーの状態を直感的に把握できる機能。また、リアルでのコミュニケーションのように、他のメンバー同士の会話を立ち聞きできるのも、ユニークな機能です。

コロナ禍での需要に応えたスピード開発

サービス提供開始前のニュースリリース時点より利用登録を受け付け、現在数万人のユーザーが利用中。ユーザーからはさまざまな声が寄せられています。

「朝会などで導入したり、何もない時間に集まれる場所としても使っていただいているケースが多くあります。また、ビジネスシーンだけでなく、学校の研究室やイベントで使われていて、想定していなかった層にも広く利用していただいています。

私たちもそうですが、みなさん雑談がなくなっていることに対して同じような課題を抱えていたものの、一方で解決手段に困っていたんですよね。少しでもその一助になっているからこそ共感して使っていただき、まだまだ荒削りな部分があるものの、ポジティブに捉えてもらえているのかな、と思っています」(大野さん/「NeWork」プロジェクトマネージャー)

リリース前からSNSなどで反響を呼んでいた「NeWork」。さまざまなメディアでビジネスシーンでの雑談減少が取り上げられていたタイミングでリリースできたことが、反響が大きかった理由の一つだといいます。タイミングよくリリースできた裏側には、スピード感を保つ開発方法がありました

小単位で実装とテストを繰り返すアジャイル開発を行い、プロジェクトが立ち上がってから、3ヶ月ほどでリリースまで漕ぎ着けました。最初の1ヶ月はコンセプトを考え、その後2ヶ月で実装しています。

これは弊社の従来の開発スピードと比較すると異例の速さなんです。もともと法人向けサービスや通信インフラの提供を行っていることもあり、100%の形になってからリリースすることが通常でしたが、今回は荒削りの部分がありながらも、価値を感じてもらえる最小限の実装をした段階で出し、運用しながら改善していくという方法をとりました」(坂内恒介さん/「NeWork」開発担当)

世の中の移り変わりのスピードが激しくなっている中で、100%の形で出すこと自体が合わなくなっているのかなと思っていて。ユーザーの皆さんからフィードバックをいただきながら改善を図っていく方が、より良いサービスにできるのかなと思っています」(大野さん/「NeWork」プロジェクトマネージャー)

「NeWork」は選択肢を増やし、豊かな未来へ向かう一歩

リリース後もユーザーの声を聞きながらブラッシュアップを続けていますが、今後も「リアルに気軽に話しかけられるオンラインワークスペース」というコンセプトが中心であることは変わりません。追加を検討しているチャット機能一つとっても、あくまで誰かとの会話の中で「URLを共有したいな」と思ったときにできるようにする補助的な使い方を想定。「気軽に話す」ことを中心に、使いやすさを求めていくといいます。

気軽に話しかけられることで雑談が生まれ、仕事の悩みを共有したり、解決しやすくなる。その結果、オフィスで働くより仕事が捗り、社内のコラボレーションの活性化や安定性が高まっていく。それが、DX時代に「NeWork」が提供していく価値となります。

「必ずしもリモートかリアル、どちらかにしなければならないという問題ではなく、僕たちはその選択肢を選べるようにしたい。リモートでも以前と同じ、またはそれ以上に効率的に働ける状態をつくる助けになれば、と思います。

そう思うのは私たち自身がリモートだったからこそ叶えられたことがあったからなんです。私は坂内、大野とは別の部署なんですが、従来は部署横断でコラボレーションするとなると、時間調整してオフィスに集まって会議室を予約して……と準備に時間がかかりました。ところが、『NeWork』の開発はコロナ真っ只中ほぼ全員リモートで場所も時間も関係なくやれたからこそ、3ヶ月という短期間での開発を実現することができました」(武田さん/「NeWork」コンセプトデザイン担当)

「コロナ禍での需要をふまえ、今回の開発に至りましたが、コロナ以前も場所に縛られる働き方に課題を感じていた方はたくさんいたと思います。たとえば東京の企業に勤めるには東京のオフィスに行かなければいけませんでしたが、DXによって選択肢が増えれば日本のどこにいても働ける可能性が広がります。『NeWork』は、多くの人にあらゆる選択肢を用意することに寄与できるようなサービスに育っていくといいなと思っています」(坂内さん/「NeWork」開発担当)

参照動画:
「NeWork™」~リアルより気軽に話しかけられるオンラインワークスペース~
【デモ動画】オンラインワークスペース「NeWork™」の機能紹介

 


コロナ禍での需要をいち早く掴み、サービスへと落とし込んだ「NeWork」。自分たちが痛感する課題が起点となったことでユーザーのインサイトを的確に捉え、「こういうのが欲しかった!」を叶えられています。コロナ禍だからこそ、できることをやる。既存の考え方を軽やかに超えながらプロジェクトを推進するその姿勢は、ニューノーマルのワークスタイルそのものなのではないでしょうか。

後編では「NeWork」をはじめ、NTTコミュニケーションズが持つDXソリューションを活かしながら、企業の新規事業立ち上げや社内改革を後押しする仕組みや体制について伺います。

イラスト[top]:前田 直子(amana DESIGN)
AD[top]:片柳 満(amana DESIGN)
文・編集:徳山 夏生(amana)

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