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  • 現場の人に聞く、あなたの会社のブランディング教えて! 異業種座談会
2019.11.05

現場の人に聞く、あなたの会社のブランディング教えて! 異業種座談会

VISUAL SHIFT
編集部
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今回は実際にブランディングを担当している人に集まっていただき、異業種座談会を開催。CAINZの新ブランド「Style Factory」、インテリアや雑貨を扱う「Francfranc」、JUNグループの「SALON adam et rope’」の3ブランドのブランディングに対する考え方や、社内でどのように共有しているかなどを語っていただきました。

ブランディングに携わる人が考える“ブランディング”とは?

——まずは、皆さんが携わっているブランドについて教えてください

株式会社カインズ ライフスタイル事業部Style Factory部長 内山 貴さん。2019年3月にDIYを軸にした新ブランド「Style Factory」を立ち上げた。

内山さん(以下、内山。敬称略):全国各地に展開しているホームセンター「CAINZ」は、生活雑貨や住居に関する商品を販売しているのですが、2019年3月に新たにDIYに特化したブランドを立ち上げました。それが、「Style Factory」というブランドで、DIYに関心がある初心者を含めた幅広いお客様に向けて、DIYに役立つ商品をセレクトし、販売しています。現在は名古屋に1店舗だけなのですが、今後、都市部に広げていくため、チーム全体の統括や商品管理などを行っています。

株式会社Francfranc 執行役員・商品開発本部長、岡田悟朗さん。シーズンごとのビジュアルブック制作をはじめ、「Francfranc」全体のイメージ作りに力を入れている。

岡田さん(以下、岡田。敬称略):家具や雑貨などを販売するインテリアショップ「Francfranc」で、企画開発やマーケティングをしています。ほとんどの商品は自社でデザイン開発をしているので、ブランドらしさがブレないようにデザインのテイストの管理を行っています。ほかにも、店頭で配布しているビジュアルブックを制作したり、「Francfranc」のブランディングや世界観作りに関連するものは、私の方ですべて見ています。

株式会社JUN 執行役員・サロン事業部、藤原旬児さん。ファッションと食を中心にライフスタイルを提案するブランド「SALON adam et rope’」の立ち上げから携わっている。

藤原さん(以下、藤原。敬称略):ファッションを中心に、スポーツやフードなど、60年に渡ってさまざまなカルチャーを発信している「JUN」なのですが、6年前にライフスタイル型のブランド「SALON adam et rope’」を立ち上げました。このブランドは “ファッションと同じくらい食べることが好きな人へ”をコンセプトに、食のシーンを想像したアパレルや生活雑貨、パッケージフードの販売のほかに、カフェやレストランの運営も行っています。私はブランドの立ち上げから担当し、現在に至っています。

——“ブランディング”という言葉を最近よく聞きますが、実際に現場で携わっている皆さんは、ブランディングに対してどう考えていますか?

岡田:僕自身は、ブランディングの目的は、単にブランドのファンになってもらうためのものだと思います。ブランディングの目的というと、“売るためにやること”と誤解されがちですが、そうではないんですよね。ブランディングは数字ではなく、「お客様から見てどう思われているか」ということなんだと思います。

内山:現在担当している「Style Factory」を立ち上げるにあたって、私もかなりブランディングについて考えたんですが、ブランディングって、お客様の声を聞いて寄り添っていくことなんじゃないかと思っています。お客様に寄り添い、共感し続けてもらうことでブランドに対して“満足感”を感じてもらったり、居心地がいいと思ってもらったり。それがブランディングの根本ではないかと思いますね。

藤原:僕が思うブランディングは、消費者の方にどう思われているか、お客様の景色をどう変えられたかという、ひとつの“結果”なのかなと思っています。自分たちのブランド「SALON adam et rope’」は、“デリシャス ファッション”というコンセプトワードを掲げているのですが、この言葉をお客様が聞いたときに、自分たちのブランドを思い浮かべていただくことをイメージしています。それがブランディングにもつながると思うんです。

岡田、内山:うんうん(深く頷く)

ペルソナについては、どう考えている?

——ブランディングをする上でターゲットの設定が重要だと思うのですが、皆さんのブランドでは、どのようにターゲットを設定していますか?

内山:CAINZ自体もそうなんですが、DIYを主軸にする「Style Factory」ブランドではあえてターゲットを絞ることはしていないんです。とはいえ、立ち上げ当初は若い女性をターゲットにしようとしていたのですが……。実際にStyle Factoryが名古屋にオープンしたら、店舗には年齢や性別にかかわらず、“もっと暮らしをよくしたい”というお客様が多かった。なので「Style Factory」のターゲットとしては、DIYに関心があったり、“DIYでもっと暮らしをよくしたい”という人の思いに応えていくブランドとして成長していきたいと思っています。

藤原:そうなんですか。実は「SALON adam et rope’」も同じです。店頭での食品の販売やレストランで提供する中で、何かを食べて“おいしい”と感じる感覚って、世代や性別は関係ないんですよね。だからターゲットとしては特に設定していないのですが、結果として美味しいものに対して感度の高い30~40代の女性が多い傾向はあります。

岡田:「Francfranc」もまったく一緒です。ペルソナは特に設定せずに、すべての世代の女性に手に取ってもらえるようなブランドを目指しています。「Francfranc」というと、これまではどちらかというと、“甘めでかわいいテイスト”というイメージをもたれがちだったのですが、最近では、シンプルでナチュラルなテイストだったり、モダンな雰囲気のアイテムも増やしていて、Francfrancの世界観が好きという方に、幅広いテイストのアイテムを手に取ってもらえるブランドに進化させているところです。

ブランドの“ファン”との接点はどう作っている?

——年齢や性別でターゲットを設定しているのではなく、ブランドが提案するテイストや世界観に共感してもらうことを視点にブランディングをされているんですね。ブランドに共感してくれるファンを作るためには、どんなことをしていますか?

内山:CAINZ全体でも実施しているのですが、「Style Factory」ではワークショップがお客様との接点になっています。初めてDIYをやってみようという方が多い一方で「何から手を付けたらいいかわからない」、「DIYに必要な道具を揃えるのが面倒くさそう」という声が多くて。そこで店舗内に工房を設置したんです。今では定期的に、ミニシェルフや踏み台作りといったワークショップを開くことでお客様と交流する場になっています。工房を作ると売り場面積が減ることになるので、小売り業としては大きな決断だったのですが、お客様からの共感度や、リピート率が格段に上がりました。人が人に教えるという、ブランド側とお客様との接点を持つことがブランド作りの根幹かなと感じていますね。

Style Factory内にあるDIY CAFE。お客様との交流の場にもなっている。

岡田:「Francfranc」では、ブランドの世界観を伝えるためのツールとしてビジュアルでのコミュニケーションを大切にしています。特に力を入れているのは、従来のシーズンごとのカタログに加えて制作している、ビジュアルブック。写真はファッションフォトグラファーとして有名なエレン・フォン・アンワースさんにお願いしました。単に商品を紹介するだけではない、ファッション誌のようなインパクトのあるものを作ることで、手に取ってくださった方には「あっ、Francfrancが進化したんだ」と感じてもらえれればいいな、と思っています。

左:Francfrancの2019AWのビジュアルブック。ファッション誌のようなビジュアルを自社で制作している。右:2019AW商品カタログ。インテリアのコーディネートを中心に構成している。

藤原:「SALON adam et rope’」でも、シーズンごとにスタイルブックや、テーマに合わせた小冊子を制作してお客様に配布していいます。“ファン=お客様だけ”とは思っていなくて、まずはスタッフが、ブランドの一番のファンであってほしいと考えています。食を扱うブランドである以上、「SALON adam et rope’」のスタッフには、食に関心がある人という条件は必須。なので面接の時には、食に関心があるかどうかという質問を必ずしています。

左上の文庫本のような体裁の冊子は、「SALON adam et rope’」がセレクトしたおすすめの純喫茶を紹介したもの。女性社員が、編集・取材・撮影のディレクションを行なっている。右の縦長の冊子は、「SALON adam et rope’」で扱う食への思いが綴られている。

社内で“ブランドの思い”はどうやって共有している?

——シーズンごとのカタログを通して社外へのアウトプットも大切ですが、社内に向けてブランディングに対する考え方を浸透させることも重要ですよね。皆さんは社内に“ブランドの思い”を浸透させたり、共有するために工夫していることはありますか?

岡田:そうですね、難しいところではありますよね。80人いるチーム全員で思いや認識を共有する方法については、まだ模索中というのが正直なところでしょうか。大きな家具から小さな雑貨類まで、扱う商品が多いので、シーズンごとのテーマに合わせて、素材や色、質感など細かく指定した資料を作ったり、現場のデザイナー達とも細かくコミュニケーションを取り、Francfrancらしさを共有しながら進めています。一方、社内外には、2017年からHP上でデザインガイドラインを公開していて、弊社が思うデザインに対する考え方を広く共有するようにしています。

内山:「Style Factory」はDIYのブランドなので、DIYがどういうものなのかを社員に浸透させる必要があります。実際に木を切ったり、ペンキを塗ったりと体験してもらうのが早いんですが、それだとハードルが上がってしまう。そもそもDIYとは、素材を集めてひとつのものを作り出すこと。そこで、社員にはDIYは決して特別なものではなくて、日常にあるものだと伝えています。たとえば夕飯作りもDIYとして考えられると。スーパーで色んな素材を買って、切って、煮たり焼いたりして1つの料理を完成させていく。これって、究極のDIYだと思いませんか? そうすると社員全員がDIYの経験者ということになる。お客様に寄り添い、共感したいと考える中で、“自分はDIYをやったことがない”と思うと壁ができてしまうので、まずは考え方の共有からはじめています。

藤原:「SALON adam et rope’」では、社員とブランドの世界観を共有することを目的に、5年前から自社で群馬県川場村に提携の圃場を持ち始めました。田植えと収穫の時期は社員がみずからの手で農作業を行っています。そこから広がって、いまは阿武隈と紀州にフルーツ農園も持っていますが、収穫したお米や果物は、「SALON adam et rope’」の店舗で販売したり、レストランの料理に使っています。やはり、食品の取り扱いや、飲食店を運営する上で、原料となるもののことを知っておく必要がありますし、社員も自分たちが関わった食材には思い入れがあるので、お客様に伝える上での説得力にもつながっていますね。

——最後に、これからやってみたいことや、夢はありますか?

内山:「Style Factory」はまだ始まったばかりなので課題もありますが、ブランドは人と人の関係と全く同じだと思っています。信頼を裏切れば恨みつらみが残ってしまいますが、ただ正直に向き合えばもっと良い関係になれるかもしれません。本当にお客様に必要とされ、また足を運びたいと思ってもらえるようなブランドを作っていけたらと思います。

岡田:「Francfranc」が隠れミッションとして掲げているのが、“世界中の女性のインテリアに対するリテラシーを上げる”です。世界の主要都市の平均的な住宅は、日本と同様に狭くて小さいところが多いんです。世界中のひとり暮らしの女性に使ってもらえるような、コンパクトでかわいい家具も作りたいですね。

藤原:わざわざ行きたいと思ってもらえるようなブランドにするためにはどうしていくべきか、悩みはつきませんね。もう一方で、より多くのお客様とのコミュニケーションをとるために、ECの強化もしていきます。今回、岡田さん、内山さんとお話させていただいて、我々はお客様を取り合う関係ではなく、お客様にとってプラスに働くことお手伝いをするという点で同じ立場にいるのだなと思いました。今回をきっかけにコラボレーションして新しい価値を見つけ出したり、それぞれの店舗で提案できたら面白そうですね。

内山、岡田:いいですね。ぜひ、やりましょう!

テキスト/河西みのり 撮影/山本彩乃
【関連特集】企業の未来が変わるかもしれない、ブランディングってなんだろう?

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