企業が伝えたいことを整理してユーザー視点でWeb動画広告を作る方法
企業がWeb動画広告を作るときにやりがちなのが、言いたいことを盛り込みすぎてしまうこと。きちんとユーザーにメッセージを伝えるならば、伝えるべきことを整理することが大事。では、具体的にどのような視点で情報を入れるべきなのかを、株式会社アマナでプロデューサーとして動画制作に携わる土井俊介に話を聞きました。
ユーザーの記憶はあてにならない
まず本題に入る前に質問です。みなさんは好きな映画に出てくるセリフをいくつ覚えていますか?
おそらくほとんどの人が、お気に入りの映画の世界観や印象的なシーンは説明できても、その中の細かなセリフまでは言えないのではないでしょうか。人の記憶力は、いくら好きでも、映画のように情報量が多いと記憶にとどめておくのが難しくなります。
実は、Web動画広告においても同じことが言えるのです。
好きな映画ですら情報量が多く記憶しておくのが難しいのに、なんとなく流れてくるWeb動画広告で情報を詰め込みすぎてしまうと、ユーザーにとって、印象に残りにくい動画になってしまいます。では、ユーザーの心に刺さり、印象に残るWeb動画広告を作るにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、ユーザーが動画を見たときに自分にとって有益な情報だと認識してもらえるコンテンツを作ることです。
よくありがちなのが、ユーザー視点を考えずに商品やサービスを知ってもらいたいという思いから、スペックや機能をひたすら伝えていく動画です。これは、企業側のメッセージは盛り込めますが、ユーザーにとって、どのように有益なのかを示せません。ユーザーが自分ごと化しにくい動画は、いくら伝えたいことを盛り込んだとしても、関心が持たれず、記憶に残りにくいものになってしまいます。
ちなみに、ユーザーにとって有益な情報というのは、ユーザーの欲望(インサイト)を捉えたコンテンツのこと。たとえば、「この商品を使えば自分の生活がこんな風によくなる」とか「このサービスを使えば自分の生活が豊かになる」など、自分がこうなるというのをイメージできると、商品やサービスについて検索したり、購買行動といった次のアクションにつながりやすくなります。
伝えたいことを体系的に整理してWeb動画広告を作る
とはいえ、企業側が伝えたいメッセージが複数あるのは当たり前です。
Web動画広告は、1つの動画に1メッセージが基本です。そのメッセージをどう整理しコンテンツを作るのか、よく使われる手法として“樹木型”と“マトリクス型”があります。

まず、樹木型は誰に何を伝えたいかを明確にできるので、伝えたいことが多岐にわたる時に有効です。たとえば、図のように、見込み顧客と既存顧客などに分け、さらにそれぞれの顧客に向けて何を伝えるかを細分化していきます。
この場合、クリエイティブの軸は統一させながら、動画の仕上がりが単調にならないように、企業ロゴが出るタイミングをズラすなど、演出を工夫し、シリーズ的に見せることができます。
一方、マトリックス型は、動画をターゲットにあわせて、情緒的な視点で見せ方を変えていくのに有効です。このように、誰に何を伝えたいかという目的に応じて、プランニングをしていきますが、大事なのは、企業の伝えたいことがユーザーにとってどう有益なのかを落とし込んでおくことです。それが企業側で整理できていると、より伝わるWeb動画広告を作ることができます。
まとめ
Web動画広告において最も大切なことは、ユーザー視点でコンテンツを考えていくことです。そのためには、打ち出したい商品やサービスをユーザーが使ったらどうなるかをイメージしておくことも大切です。それを踏まえて、世界観を詰めていき、動画の演出を制作側がしっかりと作っていく。それが、ユーザーに刺さるWeb動画広告の秘訣になりそうです。
インタビュー/園田奈々
写真/(c)Adriana Duduleanu / EyeEm/amanaimages
デザイン・作図/下出 聖子(amana design studio)