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  • インナーブランディングの前に企業の“健康診断”を。効果的に施策を進めよう
インナーブランディングの進め方 | vol.02 2020.03.25

インナーブランディングの前に企業の“健康診断”を。効果的に施策を進めよう

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編集部
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VUCAの時代を生き抜く強い組織になるために、いま多くの企業で求められているインナーブランディング。インナーブランディングの一環として理念浸透を行う際のファーストステップ、課題発見のための企業の“健康診断”についてお伝えします。

なぜ「健康診断」が必要なのか?

早期には自覚症状がない病気でも、病状が現れたときには取り返しのつかない状況になっている場合も少なくありません。早期に病気を発見するためには、定期的な健康診断を受けることが大切です。

企業の場合もまったく同じ。問題が表面化してからでは組織を立て直すのは大変です。問題を未然に防ぎ、改善していくために、企業も健康状態を把握する必要があります。さらに、経営課題は一見似たような自覚症状であっても、組織によって患部や症状が大きく違っているので注意しましょう。

また、理念への共感度や実際に行動へ移せているかなどは、社員によって異なるもの。以下の図は、ある企業の理念浸透度を調査し、その結果を反映した社員分布マトリクスです。属性によって効果的な施策は異なりますし、結果によって実施する施策の優先順位も変わります。

【右上:共感して行動派】
理念に共感し、さらには行動へ移すことができている「共感して行動派」。いわば社員の鏡と言うべき存在です。この層にいる社員は、経営トップの“リーダー像”に注目していることが判明しています。経営層が理念にそった発言や行動をとることが、後に続く社員をつくるためには大切です。また、この層の社員はロールモデルとしてその考えや行動を社内へ発信したり、インナーブランディングプロジェクトのアンバサダーを勤めてもらうといいでしょう。

【左上:共感オンリー派】
理念には共感しているものの、行動には移せていないのが「共感オンリー派」。どのように体現すればいいか迷いがありますが、上司や先輩など身近なロールモデルの発言や行動が影響することがわかっています。

【右下:行動オンリー派】
理念についてしっかりと理解し、共感していないものの、とにかく動いてみるのが「行動オンリー派」。目立ちたがり屋な面があるので、表彰や報奨で、その行動力を評価することが処方箋になります。

【左下:無関心派】
共感もなく、行動もしていないのが「無関心派」。そもそも企業理念について理解できていない場合もあるので、研修やポスター、動画などさまざまなツールを用いて理念への理解を促していきましょう。

数値をあらかじめ把握しておくことで、効率よく施策を行うことができますが、裏返すと、症状や重症度にマッチした施策をしなければ、ブランディングは機能しません。むしろ社員の心を離すことにもなりかねないのです。

「健康診断」はどうやってやる?

この大切な企業の健康診断。具体的には2つのアプローチで実施します。

①経営層へのインタビュー
まず経営層が思い描く「理想的な理念浸透の形」と「どんな企業の未来像」を描いているかヒアリング。一方で、リアルな「現状」を聞き出して、どれくらいのギャップがあるかを浮き彫りにします。

経営層は「ミドルマネジメント層までしか行き届いてない」、「若手社員に共感はされているが、行動を伴ってもらえていない」など、ある程度具体的な自覚症状を持っているものです。これを明文化することがポイントです。

②全社アンケート
全社員を対象に「理念浸透度」「従業員満足度」「市場環境対応度」「プロファイル」の4つのカテゴリーにわけた、細かなアンケートを実施。社員のリアルな声を集めます。カテゴリーごとに細かな質問はありますが、意外な落とし穴は今の理念自体が時代に合っているか、共感しやすいのか、などの機能性の評価。そのまま無理に浸透を進めても「のれんに腕押し」になりかねません。

また、画一的になりがちな理念浸透策ですが、自社に合ったものを「科学的」に選んで実施することも重要です。社員のどの層に、どの浸透策が、どれくらい効いているのか、もしくは効果がないのかを把握することが、浸透策立案に向けてのインプットになります。さらには、社員が「目指したい社風」と「いま感じる社風」のギャップを導き出し、その気持ちの追い風に乗ることも効果的です。

同じ社員とはいえ、ジェネレーションや職種、営業拠点などによっても大きくムードが変わることがあります。このような違いを正確に把握しながら、羅針盤として理念経営を行うためにも、理念浸透度のアンケート調査がおすすめです。

加えて、前出の経営層へのインタビュー結果とも照らし合わせると、経営層と社員のギャップも見えてきます。こうしたあらゆるギャップにどう対処して、その差をどう埋めていくかが、理念の見直しや、理念を正しく浸透させる施策づくりのヒントになります。

だからこそ必須なのが、社員に本音でアンケートに答えてもらうこと。本来なら記名式がベストですが、かえって本音を答えてもらえない場合も。社員の性質を見極め、無記名にするなどの配慮も必要です。ただし無記名の場合であっても、性別や年代、所属部門はしっかりと明記してもらうようにしましょう。年代や部署ごとに問診結果が異なることが多く、それぞれに合った施策を打ち出す必要があるからです。

【理念浸透施策で“共感×行動”数値が倍増!】

「感動」というキーワードを用いた企業理念を掲げていたA社。この理念は、市場環境が変化する中、これまでの事業の枠にとどまらない新規事業や新市場の創造まで牽引するワードだと考えていました。

しかし、この理念が社員一人ひとりの仕事に反映されていないことに課題を感じていた経営層。理念浸透に向けたブランディングを決意します。

その際、社内アンケートでは「理念に強く共感しているが、どうそれを形にすればいいか見えてこない」という声が多数聞こえてきました。そこで、社員自身が「感動」はどう形にできるか、を考えるワークショップやイベントを実施。

日常業務の中で、何をどうすれば「お客様の感動に紐付けられるか」の意識させたことで、1年後のアンケートでは「理念に共感し、行動もできている」と答えた社員が倍増しました。これに比例して、社員発信での店舗や商品開発の件数も格段に増え、売り上げにもつながっています。

あなたの企業は当てはまる? よくある企業の病型をチェック

「うちの会社は健康診断なんていらないな」。そう思っていても、知らず知らずのうちに病気が進行しているかもしれません。よくある企業の病型を知り、自分の会社はどうか、振り返ってみましょう。

【内向マグマ型】
表向きは優しく穏やかな社員が多いが、内には怒りや鬱憤が溜まっている。解放しないと辞めていくか陰湿な社内トラブルの発生源となる。

【おべっか蔓延型】
上ばかりを気にするおべっか社員が出世するため、正義感が無駄になりあきらめムードが蔓延している。アンテナを失うため、時代に取り残されがち。

【生気なし幽霊型】
なぜか土気色をした社員がゆらゆらと歩いている。入社時は生き生きとしていたのに、徐々に生気が失われていく。同じことの繰り返ししかできなくなる。

【猪突猛進軍隊型】
理由はともかく突き進むことに価値があるので、満身創痍になるまで走り続ける。ブレインワークをしたくても意識が朦朧としてその意欲さえ忘れてしまう。

【夢見る夢子型】
社会課題や夢に身を投じる覚悟はあるが、徐々に行き詰まり心身ともに困窮していく。耐久力勝負となり、意図に反して脱落者が相次ぐ。

早期発見は早期治療につながります。一度、企業の健康診断を検討してみてはいかがでしょう。

【まとめ】ギャップがわかれば、答えが導きやすくなる

企業の健康診断で見えてくるのは、社員が抱える不満の火種と経営層とのギャップです。インナーブランディングは、このギャップを埋めていく作業ともいえます。ギャップがみえれば、ゴールがぐっと近寄るわけです。

また、健康診断の結果をもとに、取り組みのKPIを設定するといいでしょう。取組前のスコアはどれほどだったのか、1年後どう変わったかのギャップを見ていくと、効果が数値として現れてくるはずです。

インタビュー・文/箱田高樹 デザイン/下出聖子(amana design studios)イラスト/諸橋南帆(amana)

 

メンバープロフィール

森川 綵

株式会社アマナ ブランド戦略室 ブランドストラテジーディレクター

マネジメントコンサルを経て、ブランドコンサルティングに従事して20年以上。企業CI、事業ブランド化、サービス開発、店舗ブランド開発など多様なブランディングを経験。戦略的クリエイティブで企業の進化や変革の支援を目指す。

 
メンバープロフィール

村上 英司

株式会社アマナ クリエイティブディレクター

グラフィックデザイナー、Webディレクター、インタラクティブプランナーを経て、現職。企業のインナーからアウターブランディングを中心に、デジタルプロモーション、イベント開発や店舗制作などコンテンツ制作を通して、多角的なブランド開発を行う。

 

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