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  • 情報飽和時代に実践すべき、消費者に響くストーリーとコンテンツのつくり方
2021.04.06

情報飽和時代に実践すべき、消費者に響くストーリーとコンテンツのつくり方

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記事や動画、写真、はたまたTwitterの投稿など、いま世の中には「コンテンツ」が数多く存在しています。情報過多な環境によって、消費者がコンテンツの価値を見極める判断速度が加速し、企業のオウンドメディアは見てもらうことすら難しくなっています。そんな状況で、企業は何を発信すべきなのか? 大手出版社・講談社が立ち上げたデジタルメディアの研究・開発に特化する新会社、KODANSHAtechの長尾洋一郎さんに伺います。

本稿の最後に長尾さんが出演されるアマナのウェビナー(無料)を紹介しております。ぜひ最後までお楽しみください。

企業が発信すべきは「困難のストーリー」である

せっかくオウンドメディアで自社情報を発信しても、見てもらえない——。企業のオウンドメディア担当者から、こんな声がよく聞こえてきます。

企業の情報発信のあり方を考えるときにまず認識すべきなのが、消費者が日々大量の情報を消費しているという状況。情報リテラシーが上がったことで、自身にとって価値あるコンテンツかどうかを見極める審美眼と、判断スピードが磨かれています。そのような状況で、長尾さんは「ありきたりなストーリーを語るだけでは消費者に受けとめてもらえない」といいます。

長尾 洋一郎|Yoichiro Nagao 講談社 第一事業局 第一事業戦略チーム長 兼 KODANSHAtech合同会社 ゼネラルマネージャー:1982年生まれ。東京大学で数学を学んだのち講談社入社。文芸局(当時)で小説の単行本編集を経験したあと「週刊現代」編集部へ。2017年、「現代ビジネス」編集チームに異動し、ウェブメディアに関わる。18年、社内エンジニアリング集団である事業戦略チーム(通称「techチーム」)を発足。のち同チームを母体にKODANSHAtech合同会社を設立。

「私のようなメディア企業に勤める者にとってすら、コンテンツ消費の現状は大きな壁です。読者から不要な情報だと判断されれば、すぐにスワイプされてしまう。企業は自社や商品・サービスなどを好きになってもらうためにオウンドメディアを使って発信することがありますが、非常に短時間で響くストーリーを伝えなければなりません。そのために語るべきは、ありきたりな物語ではなく『困難のストーリー』なのです」

たとえば、昨今さまざまな企業で取り組まれるSDGs関連活動。取り組みの増加に伴い、SDGsに関する情報発信も増えていますが、消費者はすでにそうした情報に飽きてしまっている可能性があります。企業が伝えるべきは「SDGs文脈で何をやっているか」というよくある話でも、「どのようなことを実現できたか」という結論だけでもなく、困難を伴うプロセスの話。「私たちはこんな困難をこのように乗り越えました」というストーリーが刺さるのではないか、と長尾さんは言います。

「『困難のストーリー』がいかに響くかは、ヒット作、つまり多くの人に読まれる漫画や小説などの物語を思い出すと見えてきます。高い確率で含まれているのは、『主人公の困難の物語』。最初は主人公に孤独や困難があり、途中で仲間が加わりながら、困難を乗り越えるために戦かっていく。これは古今東西共通の、“人が好きなエンターテイメントの構造”です」

『うちの会社では女性が活躍するようになりました』『うちの会社はゴミの排出量が減りました』といった美しい結果の話だけではなく、プロセスにおける具体的なエピソードを語るべき。コンテンツがあふれるいま、まずは消費者に受けとめてもらえるストーリーを描く必要があるのです。

端的に伝わるコンテンツのつくり方

発信すべきメッセージや内容が決まったら、次はストーリーを組み立てます。

「講談社ではグラビアアイドルの写真集を出すとき、特典としてメイキング映像を公開する場合があります。ファンであれば全編見るかと思いきや、実はコンテンツの頭だけ見ている人が多い。オウンドメディアも同様で、後半にクライマックスをもってきても今の消費者は見てくれません。一番おいしいところが迅速に伝わることが望ましいのです」

そしてもう一つ重要なのがUI。単に見た目がかっこいいデザインよりも一番伝えたいメッセージをふまえて設計すべきです。

ただ、自社サイトの凝りに凝ったUI/UX設計には限界があることも認識すべき、と長尾さん。メディアのWebサイトでコンテンツが消費されることはどんどん少なくなっている現状があります。大抵の場合、Yahoo!ニュースなどの外部配信先から流入するため、消費者はそのコンテンツがどのメディアのものか認識していないことが多々あります。コンテンツが外部のプラットフォームに渡り掲載されたとしても端的に伝わるよう設計した方が、自社WebサイトのUI/UXを考えあぐねるよりもコストがかかりません。

企業のオウンドメディアの場合、仮に外部プラットフォームに配信していなくとも、TwitterなどのSNSと連携して情報発信を行うことが多いもの。他の投稿とともにSNSのタイムライン上に並んだとき、重要なのはOGPということになります。

OGP

OGPとは、SNS上でURLが共有された際に表示されるタイトルや画像、ディスクリプション(ページコンテンツを100文字程度のテキストで表した要約)などのこと。

「Twitterの投稿はバズっていても、リンク先であるメディアのPVはそこまで上がらないことも多々あります。消費者はOGPだけでコンテンツを消費しているので、Webサイト自体にふんだんに工夫を詰め込むよりも、“おいしいところ”を端的に表し、本当に消費される形に構築することが重要ではないでしょうか」

どのようにコンテンツが消費されるのかを認識しておくことで、労力をかける部分の判断が容易になり、PVやUUのみを追うことが意味を成さないこともわかってきます。

「私たちのようなメディア事業者であっても、本体のWebサイトを見せることは非常に難しいもの。企業の皆さんは、オウンドメディアに人が来ないからといって嘆き悲しむことはありません。メジャーメディアを『渋谷109』、企業のオウンドメディアを路面の小売店でたとえると、『渋谷109』でさえ集客が難しいのであれば路面店はなおさら。集客だけで勝負しようとするのではなく、たとえ来訪者が少なかったとしても、来てくれたお客様をいかに大事にできるかを考えるべきなのです」

お客様をいかに大切にできるか?

集客の「量」で勝負することがいっそう困難になっている今、オウンドメディアの意味や価値は、「質」への転換、つまり好意を持ってくれるお客様のコミュニティに対して、さらに踏み込んだコミュニケーションを行っていくことにあります。

「お客様同士がディスカッションできる場を用意したり、編集部の裏側や苦労したことなどを伝えるニュースレターを配信したり、はたまたお客様からのフィードバックをもとにコンテンツをつくったり——。オウンドメディアを通して形成された愛読者コミュニティのお客様に、さらに近い距離でどれだけ楽しんでもらえるかを考えるべきなのです。それこそが、従来のメディアのあり方に留まらない、新しい価値の示し方だと考えています」

間口を広く、たくさんの人へ届ける場合は端的に。
一方、実際に訪れてくれた貴重なお客様との距離はぐっと近づけていく。
そして、形成されたコミュニティはなるべく賑やかに保つ。

これは長尾さんが身を置く出版業界でも目指している新しいメディアの形だと言います。企業のオウンドメディアに共通していることでもあるでしょう。消費者の可処分時間を豊かにすることが、いま企業に、そしてオウンドメディアに求められているのではないでしょうか。

撮影[TOP]:Sirinarth Mekvorawuth(EyeEm/amanaimages)
文・編集:徳山 夏生(amana)

 


長尾洋一郎さんが2021年4月16日(金)15:00〜、アマナのウェビナーに出演します。コンテンツが、「読む」「見る」から、「体験」へと変わりゆくなかで、これからの「ストーリーテリング」と「UX」について考えます。

【開催概要】
「コンテンツ戦略に不可欠なノウハウと技術
〜KODANSHAtech(講談社)のGMと考える、“ストーリー×UX”の深い関係〜」

日時:2021年4月16日(金)15:00~16:30
形式:オンライン配信(Zoom)
登壇者:
長尾洋一郎 / 株式会社講談社 第一事業局 第一事業戦略チーム長 兼 KODANSHAtech合同会社 ゼネラルマネージャー
青木裕美 / 株式会社アマナ デザインデパートメント統括ディレクター

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