VRの撮影・制作で気をつけておきたい3つのポイント

360°カメラが続々と発売され、制作ノウハウも確立されつつあるVR。でも、やはり通常の動画撮影に比べれば、撮影時のトラブルもまだまだ多いのが事実です。そうしたトラブルは、気をつけるべきポイントを事前に知っておくことが大切。撮影に気をつけること、準備、企画で考えておくべきことなどスムーズな制作につながるポイントを紹介します。

1)撮影で気をつけること

VRならではの意外な制約‥ 撮影で気をつけるポイントとは?

VRの最大の特徴が360°空間です。これがあってこそ世界観を表現してユーザーを没入させることができるのですが、その分、通常の動画に比べればVRの撮影は特殊で、制約もあります。

まず、照明が使えません。空間すべてが被写体になる360°撮影は、どんなにライティングを工夫しても必ずカメラに照明の光が写り込んでしまいます。照明を使えない分、企画の段階から自然採光できる場所や必要な機材をしっかり検討しておく必要があります。

また、360°撮影はカメラの「背後」がないので、制作スタッフは全員別の場所に隠れなければいけません。もちろん別室からモニターで確認することはできるのですが、人を被写体とする場合、いったん撮影が始まってしまえば基本的にはキャスト任せになり、細かい軌道修正は難しくなります。

そういった意味でVRの撮影はプランニングと事前準備がとても大切です。撮影場所は、採光の具合をきちんと確認したうえで、最適な場所&時間を押さえましょう。演出も通常の動画以上に綿密なスクリプトを準備して、撮影前にキャスト・スタッフ全員で意思疎通を図っておきたいですね。面倒に感じるかもしれませんが、こうした事前準備をしっかりしておくことでVR撮影はスムーズに進み、結果的にコスト・時間の節約につながりますよ!

2)撮影機材の準備について

VR撮影で必要な機材とは? 知っておきたいトラブルの予備知識

VRコンテンツが身近になるにつれて、機材も進化しています。「RICOH THETA」や「KODAK PIXPRO SP360」といった手軽な小型360°カメラも続々と発売されています。ただ、本格的にVRコンテンツに取り組むなら、やはりそれなりの撮影機材を準備したいものです。

VR制作を手掛ける制作会社で広く使われているのは、「GoPro」というアクションカメラです。一般的なVR撮影では、「GoPro」と確認用モニターをそれぞれ6台用意して同時撮影するケースが多くなります。また、2015年あたりから220°や250°といった超高角の魚眼レンズも登場しており、これを「GoPro」の標準レンズと付け替えて、2台の「GoPro」で撮影する方法もあります。このやり方は「Back to Back」と呼ばれています。

いずれにしろ、現状では通常の動画撮影と比べて機材が多くなるのがVR撮影です。カメラが2台になればトラブルの可能性も2倍になります。例えば暑い真夏の昼間のロケ、「GoPro」を使った撮影では、熱暴走対策も考えないといけません(※熱暴走ということであればGoProに限った話ではありませんが‥)。暑いなか長時間撮影を続けていると、機材の温度がコントロールできなくなり、トラブルや破損につながることがあります。この状況は、考えるだけでもゾッとします。

熱対策について、「GoPro」の公式サイトには「短いビデオクリップを撮影する」とだけ書かれています。でも、実際は機材の都合にあわせてVR動画の尺を調整するわけにはいきませんよね。また、映像の演出によっては暗所での撮影が必要になることもあると思います。その場合は、暗所に強いカメラの使用を検討するなどの事前準備が必要です。

そういった意味でもやはり知識と対策が必要です。事前に知らないと準備がしきれず、撮影当日に思わぬトラブルに見舞われることになります。ある程度のトラブルは想定したうえで、余裕のある時間と機材を確保して撮影に臨みましょう。

3)企画段階で考えておくべきこと

より効率的にVRコンテンツを制作するために、企画で注意したいこととは?

最後にVRコンテンツ制作の企画のポイントをご紹介します。VR制作は、複数のカメラで撮影した映像をつなぎ合わせて360°映像に変換(=ステッチワーク)するのですが、実はこれがかなり大変なんです‥。

カメラを多く使えば、解像度は高くなり、映像そのものの質は上がりますが、その分だけ映像のつなぎ目(ステッチ)が増えます。不自然なステッチや、シーンの切り替えがあると、コンテンツに違和感が生じ、没入感も削がれてしまいます。結果的に、違和感なく見せるための編集膨大な工数がかかってしまうケースが多いんです。

これを防ぐためには、企画段階でシーンの切り替えやステッチを考慮して構成するのが大切です。複数のカメラをまたいだ映像はステッチワークの難易度も上がってしまうので、そういった演出は避けた方がベターです。カメラのつなぎ目に掛かる部分で大事な演出を入れるのも避けましょう。

また、カメラワークのプランニングも企画段階であわせて考えておきたいことの1つです。VR撮影のカメラワークは、人物にカメラを取り付けての主観撮影や、ドローン、セグウェイ、ラジコン等による特機撮影などが考えられます。

映像の揺れはVR酔いに直結するため、いずれも撮影方法でも細心の注意を払うようにしましょう。揺れを防ぐためには、スタビライザーやセグウェイ、レールを使うのもひとつの方法です。また、ドローン等の機材を写したままにするのか、消し込むのか、という点も事前に決めておく必要があります。

他にもVRの企画・演出で注意するポイントをまとめたので、参考にしてみてください。

・人がカメラに近づく際は、ステッチングポイントに掛からないように演出する
・人やモノがステッチングポイントをまたぐ際は、できるだけ距離をとる
・シーンの切り替えが不自然にならないよう気を配る
・自然に暗転させる(手で目を覆う、ナレーションで誘う、など)
・場所の移動(部屋・対象物への出入り、など)は、違和感につながりやすいので最小限に

VRならではの没入感から生まれるユーザー体験は、クオリティがあってこそ。高品質なVRコンテンツをカタチにするためには、VRの特性をきちんと理解したうえで演出に気を配るのも大切です。

 


 

機材やノウハウが進化しているとはいえ、まだまだ一筋縄ではいかないVR制作。だからこそ注意するポイントは事前に押さえておきたいものです。

とはいえ、現時点ではそれなりにハードルも高いので、制作会社に任せるのも1つの方法かもしれません。弊社でも企画のご相談を受け付けているので、興味のある方はお気軽にお問い合わせくださいね!

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