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  • 「あたたかい暮らし」を伝えるには、どうしたらいいですか?(旭化成建材)
見える化チャレンジ | vol.01 2017.08.14

「あたたかい暮らし」を伝えるには、どうしたらいいですか?(旭化成建材)

片岡 圭史
株式会社アマナ アカウントディレクター/プロデューサー
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住宅向け断熱材のマーケティングに取り組んでいる旭化成建材。その1つに「あたたかい暮らしの実現」というビジョンを伝えるという取り組みがありました。

今回アマナが制作した2分30秒の動画は、その企業の思いを解決することができたのでしょうか。制作プロセスで感じたビジュアルの力について、旭化成建材でマーケティング推進部長を務める白石真二さんと、アマナの片岡圭史に語ってもらいました。

Case#1 旭化成建材
『「あたたかい暮らし」を伝えるには、どうしたらいいですか? 』

ビジュアルシフト編集部(以下、編集部):断熱材「ネオマフォーム」のこれまでのマーケティングには、何か課題があったのでしょうか。

白石真二さん(以下、白石。敬省略):旭化成建材はBtoBビジネスの会社なので、一般の方にはなじみがないかもしれませんが、その主力商品の一つが断熱材です。この業界は各社が性能の向上にしのぎを削っていて、性能値や価格競争のたいへん厳しい業界でしたので、他社と差別化していくためのマーケティングプラットフォームとして、快適空間研究所を立ち上げました。

私たちが事業として提供する生活価値は、断熱材を適切に使用した「温熱環境に優れた快適空間」なのですが、「快適空間」だけでは顧客に価値が伝わりにくいと考え、「あたたかい暮らしの実現」という生活者視点のビジョンを打ち出しました。そのビジョンを伝える手段を模索していたところに、あるイベントの会場でアマナの片岡さんと出会ったのです。

片岡圭史(以下、片岡):そのイベントというのは、大企業の新規事業部やベンチャー企業の方の中でも尖った人たちが集まる情報交換会のような場で、そこにアマナがフォトブースを出していました。その場で僕が5分間、アマナの組織的な強みを話す機会をもらったんです。

白石:その話の中で「見えないものや抽象的なワードを可視化する」というキーワードがあって、「それだ!」と直感的に思いました。

編集部:その時点で、すでに白石さんの頭の中には何か動画のようなものを作ろうという考えはあったのですか。

白石:はっきりとはなかったですね。当時、私たちは、弊社断熱材工場のある茨城県境町に体験型施設を作ろうとしていました。片岡さんにお会いしたのは、ちょうど「住宅体験棟‐ネオマの家」を建設中でしたが、写真だけで、その価値を顧客に伝えるのは難しいかなと感じていました。

片岡:はじめは写真1枚で「あたたかい暮らし」を表現する方法を提案していました。けれど、企業として伝えたいことがいっぱいあって、その棚卸を一緒にやった結果、一番伝わるものが動画という結論にいたったんですよね。

白石:ビジョンにある「あたたかい暮らし」は、ぼんやりとした抽象的なイメージですが、もう少し分かりやすい言葉に置き換えてみると、「体、心、懐があたたかい暮らし」ということです。そんな目に見えない価値をいかに魅力的に表現するかが、今回の命題でした。

出典:NEOMA VISION(ネオマビジョン)〜あたたかい暮らしの実現〜

編集部:目に見えない価値をどうビジュアル化するかは、企業にとって大きな課題ですね。

白石:例えば、温度、湿度、気流、周壁温度という4つの要素が適切にコントロールされた温熱環境になることで、住む人のストレスがなくなったり、健康につながったりするのですが、言葉を尽くしてもその感覚は伝わりづらいところがあります。それをどう伝えるかという難しい課題を一緒に考えていただけました。

BtoBの顧客目線だけではなく、その先の生活者の目線に立ってみる

編集部:動画を制作するにあたって、どのように「あたたかい暮らし」を掘り下げていったのですか。

白石:まず、10名のクリエイティブの方たちにオリエンテーションを行い、ビジョンを提示しました。その後、モデルハウスが完成したので、皆さんに実際の空間を体験してもらいました。私たちのビジョンを深く理解していただくために必要なプロセスだったと思います。

片岡:それまでも、白石さん達のチームとは、結構な時間をかけてディスカッションをしていました。大枠のビジョンとして言いたいことが決まっているのですが、僕達からするとちょっとぼんやりした印象で。

白石:若いスタッフさんはマンション暮らしの方が多く、室内でも、夏は涼しくて冬は暖かいことが当たり前で、断熱性の高い一戸建住宅の価値とは何かというのは伝わりにくかったのではないでしょうか。時間をかけてコミュニケーションを取ったことで、理解していただけました。

片岡:僕も現地で空間を体感して、白石さんが言っていることがわかりました。冷房一つで家中がこれほど涼しくなるとは驚きです。ユーザーとしてだけでなく、それを伝える側としても、断熱材のことを何も知らない人にどう伝えればいいのかを肌で感じた瞬間でしたね。本当は、これを1人でも多くの人に体験してもらえればいいのですが、限りがあります。だから動画の作り込みに注力しました。

編集部:工務店様がターゲットとのことですが、生活者が見ても違和感のない動画ですね。そこも意識されましたか。

片岡:実はターゲットの設定はとても重要で、どこに寄せるかは、かなりもがきましたね。BtoB向けのビジネスですが、最終的なお客様は住む人なので、BtoBtoCのモデルなんですよね。営業に持たせるならビジネスを意識しますが、Webサイトに置くなら消費者にも届く方向にする必要があるかなと。

白石:そういった議論を重ねて、何パターンか案を用意してもらった中で、BtoBに寄ったもので、なおかつBtoCとしてもおかしくないものに落ち着きました。

編集部:意見の衝突はありませんでしたか。クライアントの要望の中には、クリエイティブが受け入れがたいものもあると思いますが、バランスを取るために気を付けたことは?
片岡:僕のポジションはバランサーで、両方の話を中立的に聞く立場だと思っています。アカウントディレクター兼プロデューサーなので白石さんの言いたいこともわかるし、クリエイティブが目指しているものもわかる。そのバランスを取って落としどころを見つけるのが役目です。

白石:私も社内ではプロデューサー的な立場なのでよくわかります。私のチームには、20代から50代までのメンバーがおり、各自の思いや経験からいろいろな意見が出ましたが、感性豊かなクリエイティブの人達に柔軟に対応していただけたと思います。

片岡:新組織でモデルハウスまで立ち上げた人達なので、思い入れや言いたいことはたくさんあって当然です。けれど、クライアント的にどうかではなく、見る人がどうかという視点が大事。僕みたいな30歳男子が俯瞰で見たときにどう感じるかは結構重要だと思うんです。クリエイティブのことを7、8年やっている人間がそれを代弁すれば、説得力があるというか、提案の受け取られ方も違いますよね。


白石:バランサー片岡さんのおかげで何とかまとまり、大変感謝しています。また、私にとっても、動画・映像の世界は経験があまり無かったので、今回のプロジェクトはとても勉強になりました。

対外的にも社内にも、ビジュアルがうまく機能する

編集部:今回、制作された動画「NEOMA VISION〜あたたかい暮らしの実現〜」はどのように運用されているのですか。
白石:主にお客様(工務店)向けの説明会で使っています。このほか、自社のYouTube公式アカウントにもアップし、モデルハウス(展示棟)でも放映しています。

片岡:アマナのコーポレートサイトで、事例としてもアップしています。動画などのコンテンツは、セールスツールとして営業を直接的にアシストするだけでなく、いろいろなところで、それ自体が勝手に営業してくれるようになることも期待できます。

白石:かつては動画によるプロモーションは高価で手が届かないものだと思っていましたが、SNSなどがあたり前となった今日では、企業からの情報提供の手段として有効だと思います。クリエイティブの方たちと一緒に作り上げるという実感もありました。今後は、動画に限らず、コンテンツを充実させたいですね。

編集部:動画は社内のコミュニケーションにも有効だったと聞いていますが。

片岡:僕は新規事業をサポートする仕事に数多く関わってきましたが、社内に対しても自分達の考えややっていることを伝えるのは難しいんじゃないかと思います。紙面上に落ちていても、腹に落ちるには時間がかかる。だから、モデルハウスを作ったり、映像としてビジュアル化することはとても有効です。

白石:社内でもうまくまとまっていなかったものが、今回のプロジェクトで議論を重ねていくうちに、整理され体系的になりました。方針を決める会議でもこの動画を見せてプレゼンしましたが、パワーポイント数十枚で見せるよりも説得力があったと思います。

片岡:そうかもしれません。ロジカルな根拠は必要だと思いますが、説明するにも読み込むにも時間がかかります。言いたいことを説明する前段として、視覚的に情報を多く盛り込める動画は効果的です。その後にロジックがあれば、さらにうまく伝わりますよね。

白石:「あたたかい暮らし」はとても一見平凡な言葉ですが、動画で表現したことで、その言葉に込めた意図や旭化成建材の深い思いが、顧客にも伝わっていると感じています。

片岡:白石さんとの最初の出会いで「ビジュアル問診」をさせていただいたことは覚えていますか? 御社はどのくらいビジュアルコミュニケーションをしているかと聞いたときは10%以下だったんですけれど、今、同じ問診をしたらパーセンテージは格段に上がっていると思いますよ。

白石:確かに上がっていると思いますが、改善の余地は、まだまだありますので、これからもレベルアップを目指していきたいと思います。ありがとうございました。

Profile
プロフィール

白石 真二

旭化成建材株式会社 快適空間研究所 所長

旭化成株式会社入社後、戸建住宅事業のマーケティング&セールスに携わる。経営戦略室、新事業企画開発室を経て、2014年に旭化成建材株式会社の新しいマーケティングプラットフォームである快適空間研究所所長に着任。マーケティング推進部長を兼任し「NEOMA VISION〜あたたかい暮らしの実現〜」のPRで中心的な役割を担う。

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