プレミアムなおもてなしを形にする、IMA cafeのデザインワーク

ふと目にしたロゴや手に取ったパッケージに、思わず見入ってしまうことはありませんか。その理由は、商品やサービスを提供する企業の「想い」がデザインされているからではないでしょうか。

 

アマナに来社されたお客様をプレミアムなコーヒーでおもてなしするIMA cafe(イマカフェ)。そのコンセプト設計から、ロゴの開発、グッズのデザインまで、総合的にプロデュースを担当したアマナデザインの佐伯英範(アートディレクター)と羽渕梨捺(プランナー)に、企業の価値や目的を形にするデザインワークについて話を聞きました。

コーヒーへのこだわりをひもとく、アマナのコンセプトワーク

編集部:アマナ天王洲オフィス、amana square(アマナスクエア)内のギャラリーに併設されたIMA cafeには、コーヒーマイスターが一杯ずつ丁寧に淹れたプレミアムなコーヒーで、お客様をおもてなしする目的があると聞きました。IMA cafeの総合的なデザインをアマナの進藤博信社長に依頼された際、どのような話がありましたか。

羽渕梨捺(プランナー/以下、羽渕):最初に聞いたのは、進藤の「想い」です。お客様が来社されたとき、おいしいコーヒーと素敵な施設でプレミアムな時間を過ごしていただきたいという考えの下、IMA cafeは、一般の方ではなくアマナのお客様をおもてなしする空間としてとらえてほしいと話がありました。

佐伯英範(アートディレクター/以下、佐伯):内装はまだ施工中で、amana square、IMA cafeという名称も決まっていませんでしたが、ラウンジ、ホール、カフェがあるという空間全体の話がありました。建築模型やパーツを見せてもらい、そこにあるカフェはどうあるべきか、ふさわしいデザインをクライアントである進藤と一緒に考えていったんです。

編集部:クライアントの「想い」を聞いてからどのような提案をしたのでしょうか。

羽渕:プランナーとして、まずステートメント(目的)を作成しました。ロゴの開発、店舗のツール制作を何のために行うのか、目的から外れないためにも価値を顕在化させ、クライアントと進めていくことはとても重要だと考えます。その言葉は、IMA cafeのWebサイトに載せています。(IMA cafe Webサイト)

佐伯:私はアートディレクターとして、羽渕が作成したステートメントの「おいしいコーヒーでプレミアムな時間を演出する」という目的から、アマナらしいロゴのデザインをいくつか提案しました。代表の進藤もよく言っていることですが、アマナは「人」がいちばんの財産。「amana」という社名の真ん中には「man」がいて、お客様という「人」に対する思いがあることを感じてもらえるよう意識しました。

ロゴデザイン案(佐伯作)。

佐伯:提案のバリエーションとして、コーヒーのシズルを感じるロゴのデザインなども、もちろん考えていました。しかし、今回のステートメントは不特定多数に向けてコーヒーを売るためではなく、時間を共有するためのおもてなしであるという点に留意しました。いろいろなバリエーションを作った中では、いちばんコーヒーっぽくないデザインに決まりましたね。

採用されたロゴデザイン。

佐伯:デザインは必ずしも伝わらなければいけないとは考えていません。クエスチョンが頭の中に浮かぶような、お客様が「何ですかこれ?」と思ってもらうことも、デザインのおもしろい仕掛けです。

羽渕:IMA cafeのロゴは、カタカナで「イマ」と読めるし、「人」という字が並んでいるようにも見えるんですよ。

佐伯:IMA cafeの役割は、アマナのバリューをコーヒーで味わってもらうことです。コーヒーマイスターの中川亮太(IMA cafe)が、お客様に豆の産地などを話しながらコーヒーを提供し、バリューを理解してもらう。その流れの一環としてロゴにも考える余白を与え、コミュニケーションが生まれるよう重視しています。

コンセプトを立体化するデザインワークの進め方

IMA gallery|cafeの店内。

編集部:ギャラリーに併設された、美的感覚あふれる空間にぴったりなカップやテイクアウト用のバッグも印象的です。どのような点を意識して作成しましたか。

佐伯:グッズは顔や形になるものなので、基本は息が長く、飽きのこないもの。時代の流れに乗ったほうがいいというわけではなく、普遍的なものがいいと考えました。パッケージは衣装なのでTPOに合わせることを大切にしています。

羽渕:今回は、プレミアムでアマナらしいデザインにこだわることが一つの軸だったので、カップはスリーブなしでロゴが見えて美しく持てるように、紙質とコストのバランスを取りながら選びました。

佐伯:ギャラリー併設のカフェなのであくまでも飾られている写真が主役。ですので、キーカラーは五感で感じてもらえる空間の邪魔をしない、シックな白や黒で提案しました。

羽渕:事前に必要なグッズを調べ、それをベースにマイスターの中川と相談し、ロゴを落とし込んだカップ、テイクアウト用のバッグ、メニュー、看板、ショップカードを作成しました。その中でも特にこだわったのは、テイクアウト用のバッグです。

テイクアウト用のバッグ。

佐伯:もともと一枚の紙ですが、デザインにこだわりました。バッグ内側の黒い面には、マスターの中川の「想い」やIMA cafeのコンセプトを書き、コーヒーを淹れている間にこれを読んで待ち時間も楽しめる工夫を盛り込みました。また、手触りや耐久性にも留意し、紙質の選定や加工、印刷をしました。アマナのプリントオンデマンドサービスを活用することで細部までこだわった印刷の仕上がりとなりました。

編集部:テイクアウト用のバッグは個性的な形をしていますね。この形状を選んだ理由をお聞かせください。

佐伯:スタイリッシュな見た目です。他のプロジェクトにも言えることですが、ショッピングバッグは、ブランドを表現する一つのメディアです。これを持って天王洲を歩くことで、周囲の人の目を引いて「気になる」を誘う狙いもあります。バッグは横から見るとドリップの滴のようにも見えますよね。このような仕掛けから、コミュニケーションが生まれたらいいですね。

編集部:Webサイトの制作も予定にあったのですか。

羽渕:IMA cafeと合わせて作るものだと考えて提案しました。Webサイトは家のようなものです。ショップカードにURLを載せて「ここで見てください」とすることでまた訪れたくなる、紹介したくなる役割を果たしてくれたらいいなと思っています。

総合的なプロデュースで、伝えたいものの価値を高める

編集部:そもそも、アマナデザインがIMA cafeの総合プロデュースを担当した経緯を教えていただけますか。

佐伯:この数年でアマナデザインが総合的にプロデュースした空間やプロダクトの事例を見てくださり、直接、依頼がありました。

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編集部:クライアントにとって、総合的にプロデュースを依頼するメリットは何だと思いますか。

羽渕:依頼する側は、コーヒーについてのプロで伝えたいことがたくさんあっても、それをどのように伝えるかはよくわかっていない場合もあります。そこで、私達が表現のプロとして総合的にプロデュースすることで、コミュニケーションをサポートすることができます。時には俯瞰して見たり、わからない部分は一緒に考えながら、コンセプト設計、空間、ロゴデザインなどを一貫して形にできることがメリットではないでしょうか。

佐伯:アマナデザインの強みは、いろいろな感性を持った、さまざまな分野のプロフェッショナルな人達がいることです。作る側だけでなくクライアントも含めて、複合的な視点から生み出されるものの価値は高いですよね。

羽渕:いろいろな分野の専門職が、一緒にアイデアを固めて形にできることが強みですね。

編集部:総合的にブランドに寄り添うことで新たな価値創出ができそうですね。

佐伯:先ほど羽渕が言ったように、広く俯瞰して見ることもそうですが、早い段階から一緒に取り組むことでできることの範囲が広がります。たとえば、「おいしいお茶ができました」と聞くよりも「おいしいお茶を作っています」や「おいしいお茶を作ります」と聞いたほうが、畑の段階からファンを増やすコミュニケーションのお手伝いができます。それが、アマナデザインを含めたグループの総合的なプロデュース力だと思っています。

テキスト: さとうともこ
撮影:豊田佳弘

プロフィール

佐伯英範

株式会社アマナ アート・ディレクター

制作会社・フリーランスを経て、2012年アマナ入社。紙・デジタル・パッケージなど媒体にとらわれず、多岐にわたり幅広いデザインワークが強み。ビジュアルが持つ可能性を日々模索中。

プロフィール

羽渕梨捺

株式会社アマナ プランナー

2013年入社。プランナーとして、グラフィック、WEB、映像、イベントなど、様々なコンテンツの企画・制作に携わる。

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