隣に座っている同僚の名前がわからない会社に未来はない

アマナには、「amana knowledge board」と呼ばれるインナーコミュニケーションのためのメディアがあります。これは、スマートフォン、PCなどのデバイスを通して、1日に数本の記事がグループ全社員に配信されるというものです。

記事は、仕事の成果、リーダーの言葉、社内クリエイターの紹介、社員それぞれの趣味や特技など、すべてアマナに関連した内容。そして必ず「人」が主役として登場しています。読者である社員は記事を読むことによって、自分以外の社員の情報を自然に知ることができるのです。

ナレッジシェアとインナーコミュニケーションを、自社メディアを通して行うこの仕組みを構築し運営しているのが、アマナの営業戦略推進室。統括担当の下村和功が、ナレッジマネジメントの必要性、運営の方法についてお伝えします。

ナレッジマネジメントの必要性を感じた、社内の課題

デジタル化が進むにつれ広告マーケットは大きく変化し、ニーズも市場も多様化しています。企業は成長し続けるために、多様化に合わせて商材やサービスを増やします。それはマーケットを広げるために必要なことなのですが、あまりに商材が多くなりすぎると個々の社員の理解が追いつかず、なぜ会社がその取り組みをしているかを知らないまま仕事を進めることになります。

自分が抱えているマーケットとクライアントにとって、必要なサービスのみを理解していればいいんじゃないか ——。商材だけでなく、経営理念や会社の方針が浸透しないままでは、新しい提案や取り組みにつながりません。個人商店が乱立するようになると、「この案件は誰に相談すればいいのか」「前に同じような案件を取り扱わなかったか」と必要な情報を探す手間が増していきます。弊社の制作事例は、年間15,000件以上。個人で詳細な情報を収集するには、限度があるのです。

自分の会社のことこそ、検索したい」。
そんな非生産的、非効率的な状況は、企業にとってマイナスでしかありません。

社員一人ひとりの営業力を強化するには、会社の取り組みをよく理解すること、そしてどのような社員が会社のどこにいるかを把握することが大切です。ナレッジマネジメントも含めて営業を支え、組織や個人が成長し続ける仕組み作りを専門的に行うために、営業戦略推進室を立ち上げました。

ナレッジを共有する仕組み作り

「amana knowledge board」がスタートしたのは、2015年9月。アプリではなくWebサイトです。社内専用のイントラネットを介してアクセスでき、1日に4〜5本の記事が平日毎日、一定の時間をおいて配信されます。社内に編集部があり、各社員に取材や聞き取りをして記事を作成。読者である社員は、会社貸与のPCまたはスマホから専用画面にアクセスし、好きな時間に記事を読みます。プロデューサー職が400人以上、フォトグラファーやレタッチャーなどのクリエイティブ職が300人以上いるのですから、移動や撮影の際、また営業に出かける前などに、スマホの画面でさっと見られるシステムは最適だと考えました。

アマナグループで活用しているインナーコミュニケーションメディア「amana knowledge board」

ビジュアルコンテンツの制作を行っているアマナでは、ナレッジ=制作事例が主になります。クライアント名、成果物、社内の担当者とスタッフィング、予算。それらがただのリストや数値ではなく、ストーリーを持った記事として「人(=社員)」が主役で紹介されることで、読者である社員には「人」の情報がより強く印象づけられます

記事には人事情報と連動した社員個人の連絡先が表示され、タップ(クリック)1回で登場した社員に連絡ができる機能も実装。ナレッジを共有しつつ、人と人をタイムラグなしにつなぐインナーコミュニケーションをサポートしています。実際に、知らない社員からの問い合わせが増えた、参考になる事例を検索するのがラクになった、クライアントとの話の糸口になるなど、明らかに社内のコミュニケーションが活性化した様子が見て取れるようになりました。

コミュニケーションのプロセス全体を効率化したこと、必要な情報に簡単かつスピーディにアクセスできること、その情報がただのデータではなくエモーショナルな印象を持って「人」が心に刻まれるスタイルになっていること。「amana knowledge board」はこのような特徴を内包したメディアなのです。

ナレッジマネジメント、これからの課題と進化

以前にも、弊社では部やグループ全体が参加するミーティングやイベントなどで、ナレッジの共有とコミュニケーション作りの機会を持っていました。ただいずれも、参加する人も日にちも限定的。情報が次々と挙がってくる「amana knowledge board」は、その隙をつなぐように密で細かなスタイルが、うまくハマったように思います。

もう一つ課題となるのは、そういったナレッジシェアやインナーコミュニケーションの活用です。施策を始めたのはいいけれど、常連の社員だけが参加する、内容が更新されない、そういった理由で休眠状態に陥ることもあるでしょう。では、どうしたら日常的に使ってもらえる場になるのでしょうか。

まだ模索中ではありますが、気をつけているのは、社員である読者を飽きさせないように、古さや停滞感を感じさせない配信の頻度と企画の鮮度を保つことと、できるだけ多くの社員に参加してもらうためにさまざまな切り口の企画を考えて実行すること。そして大切なのは、記事を作って配信する側のエネルギーとそれを受けて利用する社員側のエネルギー。この双方のエネルギーがうまく合致することが必要なのだと思います。

もしナレッジマネジメントを行う場合、会社の強みは何か、シェアすべきナレッジとは何を指しているのかを明確にしたほうがいいでしょう。社員を巻き込む工夫は必要ですが、それはあくまでもテクニック。会社の成長を促すために何を知ると強みになるのか、知るべき情報が会社の戦略に基づいているか。そのポイントありきで、ナレッジマネジメントの形やシステムが決まってきます。

ナレッジシェアはただのきっかけ作りであり、それで情報すべてを網羅しようとしてもできるわけではありません。インナーコミュニケーションを介して、社内の人と人がリアルな場でつながる。それが社員の教育や文化を育てることになり、会社の成長という結果に結びつくことが、ナレッジマネジメントの最終目標です。

何かを浸透させたり根づかせるには、時間がかかります。ナレッジシェアを行っている会社といない会社では、未来のあり方に差が出てくるかもしれません。だとしたら、まずは手をつけられるところから始めてみてはいかがでしょう。

人の智恵が、会社の未来を作る。
そして、その未来はすでに始まっているのですから。

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